彼の卒業式(メサイア-悠久の刻-感想)
2017年9月24日
大好きな推しが卒業をした。
正式には推しキャラが卒業した。
推しこと、加々美いつきに出会ったのは2年前の「メサイア-鋼ノ章-」という舞台だった。
そもそもメサイアシリーズは推し(俳優)の太田基裕くんが出ていて(以下もつと書きます)DVDから追い、初めて生で観劇したのはもつが演じていた颯真が卒業した後の公演「メサイア-翡翠ノ章-」だった。
翡翠はこれまた好きな俳優である松田凌くんが演じていた、海棠鋭利とそのメサイアである小野健斗くん演じる御津見珀の卒業公演だった。
卒業公演とは何か。
メサイアの話を簡単に説明すると要は『警察内部に密かに存在するスパイ組織(通称:チャーチ)に所属するサクラと呼ばれる構成員たち』の話だ。
もっと簡単に説明するとつまりはスパイの話だが、ただのスパイではなくメサイアが人気な最大の要因は別にある。
チャーチ内にはいくつか鉄の掟がある。
サクラは、チャーチについて沈黙を守らなければならない
サクラは、チャーチを出れば二度と接触してはならない
サクラは、任務に失敗したサクラを救助してはならない
サクラは、友人や恋人になってはならない
ただ一人の例外"メサイア”を除いて
メサイアという、心の伴侶の存在が彼らにはあった。
そこが一番の話の盛り上がりだと私は勝手に思っている。題名で使われているわけだし。
サクラ同士で助けたり、友人・恋人になってはいけないが、自分のメサイアだけは何かあった時に助けることができる、もしくは助けてもらうことができる。
この関係性に観ている側は惹かれる。
少なくても私はこの設定を見た時、強く惹かれた。
この設定だけでも「え、何これ気になる…」と思った方は、まずはこちらからどうぞ。
(一番最初の話、「メサイア-漆黒ノ章-」です)
チャーチにいる間のサクラは「サクラ候補生」として日々ミッションを行い成長していく。
そして、卒業ミッションを果たし、合格した者だけが「サクラ」として国のために命をはって戦う。
文字通り彼らは「卒業」をする。
凌くんは、初演からずっと鋭利を演じていて、舞台と映画とドラマを合わせたら、6作のメサイアに出ている(卒業公演の後に出た外伝*1を入れて6作)
もつが演じた颯真は3作目で卒業したからなのか、感覚的に鋭利は卒業まで長かった印象が強かった。(結局颯真も卒業後に2作出演するが)
私はこの凌くんが演じる鋭利が大好きだった。
だからこそ、鋭利がいなくなって、新しいサクラ候補生4人が出て来た時の、今後のメサイアに不安があった。
今までの4人以上に面白い作品になるのか、今までと変わらず好きでいられるのか、とか。
沢山の気持ちがあった。
翡翠ノ章は鋭利と珀の卒業メインの話だった。
新人4人の出番はイマイチで、4人の魅力をこの時はまだ感じられなかった。
それからすぐに次回作が発表され、卒業したはずの颯真が出ることになった。
それこそが2年前の「メサイア-鋼ノ章-」という舞台だった。
ここで私は、加々美いつきと出会うことになる。
いつき役を演じている杉江大志くんは、テニミュ*2の全国立海で初めて生で見ていた。
大志くんがその時に演じた一氏は、正直好きでも嫌いでもないキャラで、大志くんの名前は覚えたがそういう若手俳優がいるんだなという印象で終わった。
現実、他の作品に出た時も「大志くん出るのか~」といった感じで特に深い印象のある役者ではなかった。
それこそ「あの人テニミュにも出てたなぁ」といった反応が出るだけだった。
それは大志くんに限らず、他の役者に対してもよくあることで、特に深い意味があるわけじゃない。
メサイアも同じで最初は「出るのか~」といつものように思っただけで、特に深い印象はなかった。
どんなポジションか、敵か味方か。
気になったのはその辺だけだった。
むしろビジュアルを見ただけの時は
「これ絶対北方のスパイじゃん!」
と言っていたし、
「周とメサイア組むのでは?」
とかも言っていた。
今思い返せばとんでもない展開に笑う。
鋼ノ章のチケット倍率は異常だったが、なんとか手に入れ観に行くことができた。
久々の颯真が楽しみだった。
が、それはすぐに別の意識へ向けられることになる。
大志くん演じるいつきを初めて見た瞬間に
「あ、この子好きだな」
と思った。
それは直感だった。
顔なのか、髪型なのか、ビジュアルなのか、何かが私の心を捕らえた。
クルクルした強めのパーマをして、飴を咥えて、生意気に喋る彼が自分の好きなキャラに当てはまっていた。
こう、謎めいたキャラクター性に魅力を感じた。
飴を舐めるという行為は、色んなことを考えさせてくれた。
単純に飴が好きなのか、甘いものが好きなのか、飴を舐めることで精神的に平常心を保っているのか、昔に何かあったのか。
更に、未登場の「おじさん」という発言に、いつきのおじさんとは誰なのか。
一嶋係長*3なのか?とか色々考察できた。
鋼は誰の卒業公演でもなかったが、染谷俊之演じる間宮星廉と、そのメサイアである井澤勇貴演じる有賀涼の話が主としてあった。
間宮ショック*4を私も見事に受けた。
白銀と翡翠でメサイアの恐ろしさ(あまりにも重い内容)は分かっていたはずなのに、卒業公演じゃないのにこの恐ろしさに、改めてメサイア怖いと思った。精神的にキた。
鋼が終わってからすぐ後に、「メサイア-深紅ノ章-」という映画が公開された。
卒業したはずの颯真がまた出たので、すぐに観に行った。
この深紅で、私は確実に加々美いつきに落ちたと思う。
深紅で有賀のメサイアにいつきはなっていて、最初は生意気だった彼は徐々に変わっていった。
何より飴を舐める行為がいつきのアイデンティティーだと思っていたが、いつきは深紅の最後に飴を舐めるのを止めた。
その理由が「舐める必要がなくなったから」だ。
彼の過去をこの時は何も知らない。
それでも、彼が変わっていくのが嬉しかった。
深紅の後の舞台「メサイア-暁乃刻-」でついに大きな出来事が起きた。
いつきが有賀に「名前で呼んでください」と頼んでいた。
心臓発作起こすかと思った。
これまでのメサイアを思い返せば、どのメサイアも名前で呼んでいて、これはずっと自分の中で思っていたことだけど、有賀がいつきのことを名前で呼び、いつきが有賀のことを名前で呼ぶことができれば、本当のメサイアになるのでは?とずっと思っていた。
自分で思っていただけで、有賀が「いつき」と呼ぶとは思えなかったし、いつきが「涼」と呼ぶとも思えなかったから、自分のただの妄想だと思ってた。
いつきが「有賀さん」って呼ぶのが好きだったから、複雑な気持ちもあった。
急にどうしていつきが「名前で呼んでください」と言ったのか分からない。
けど、名前を呼ばれることで更なる親しみを有賀から感じたかったのかもしれない。
硬派な有賀が誰かのことを親しく名前で呼ぶことで、自分が有賀のメサイアだと思いたかったのかもしれない。
全部自分の妄想だけど、控え目に言っても最&高である。
劇中最初は「いつき」と呼べなかった有賀が「いつき」と呼んだ時に、自然と涙が出た。
間宮のことを「星廉」と呼ぶ日が彼にはあったのかもしれない。
それでも呼ぶことはなく、加々美いつきと出会った。そして、二人はメサイアになった。
この暁で、鋼の時にいつきが言っていた「おじさん」が出てくるのだが、クズすぎて私はおじさん絶対殺すマンと化した。許さないぞチェーカー。
そして「メサイア外伝 -極夜Polar night-*5」が映画公開された。
最初の「メサイア-銅ノ章-」で評議会という敵組織に所属していた三栖と周がメインで、初日に観に行った。
※三栖さんと周に関しては話すと長くなるので省略します。
この映画で、いつきの出番は1分くらいだったが、
いつき「有賀さーーん!有賀さん!お風呂行きましょうーーー!!」
死ぬかと思った。
控え目に言って可愛すぎて死ぬかと思った。
映画での一声目がこれだった。
姿はない。
声だけでこの一言目。
そして、風呂場でみんなと話をするシーンの2つだけの登場だったが、正直最初の有賀を呼ぶ声でいつき満足度120%になったので、結果的には満足した。
有難う、外伝スタッフ。
間宮を軽率に出したのは許してないが。
そして今回の舞台「メサイア-悠久乃刻-」
銀河劇場、大阪:サンケイホールブリーゼ
出演
井澤勇貴、杉江大志 / 長江崚行、山沖勇輝、橋本真一、山本一慶 / 大塚公祐、小谷嘉一、山田ジェームス武、宮城紘大、荒木健太朗、西野龍太、豊嶋杏輔 / 村田充 / 中原裕也 ほか
最初は行かないつもりだった。
いつきの卒業公演と知っていたが、なんとキャスト先行に全滅した。
最近チケットが死ぬほど当たらない。
基本的にチケットを自力で取れないと「運が無かったのだな」と行くのを止めてしまう癖があるので、
だから、悠久も行くつもりがなかった。
それでも、公演が近づく中で「これが最後」「最後に見られるいつき」だと思うと、やっぱりチケットを探していた。
行かないと後悔するというのは、クロードと一緒にで勉強していたからだ。
有り難いことにチケットを譲っていただいて、観に行った。
取り合えず一言で言えば翡翠でも暁でも泣いたが、悠久はそれ以上に号泣した。
※以下だらだらとツイッターで流した感想と加々美いつきが最高なところ(自分の記録用)
・有賀といつきの関係性もそうだが、色んな場面で間宮の影を見た。
間宮の死を「死は美徳」にするのがずっと嫌だった。
最初の間宮は悠里とメサイアで、その後有賀とメサイアを組んだ。しかも有賀は間宮の旋律で救われてて、そしてその男は救ってくれた相手を殺して、それが美徳になるんじゃないかって怖かった。
だから鋼以降ずっと間宮のことはモヤモヤしてた。
間宮をいつまで引きずるのかなって。
悠久でいつきが有賀の心の穴を埋めるために、実はヴァイオリンを練習していて、そのヴァイオリンで有賀の記憶を思い出させようとしたけど、結局はヴァイオリンで有賀がいつきを思い出すことはなった(弾かなかったというのもあるが)結局はいつきの思いで有賀は救われたから、間宮はいつまでも心の中にはいるけど二人には必要ないんだと思う。
これでようやく間宮から抜け出せた気がする。
・雛森に対して「舐めんじゃねーぞ、新入り」って言う加々美いつき控え目に言って最高
・いつきは「間宮のヴァイオリンを聞かせれば、今までのこと思い出すかも!」って思ったんだろうけど、そうじゃないんだよ…。
もう有賀の心の中には間宮よりもいつきの方が強くいるんだよな。
・初期メンバー4人は自分のメサイアが死んだとしても「どこが生きてる」って信じ続けてるけど、次の4人は依存症が強すぎるから死んだって分かったら自殺しそう。
・間宮のヴァイオリンで世界が変わった有賀のために、いつきがヴァイオリンの練習をしてただけでも大きいことなのに、それを聞かせて自分のことを思い出させようとしてた。でも、結果的にはいつきの想いで思い出させた辺り、間宮ではなくいつきが有賀のメサイアなんだなぁって。
・万夜様の「僕は君に殺されたい」って、これ卒業ミッションで「小太郎を殺せ」になった時どうなるのかなぁって。
・いつきの依存性パーソナリティ障害って、基本的なことさえも誰かに面倒を見てもらいたいっていう過剰すぎる要求なんだけど、これ有賀が死んだところとか見た時どうなるのかなぁ…自殺しそうだなぁとふと思う。「昔はベタベタくっついて〜」ってクズおじちゃん言ってたから、夢見が悪かったりすると幼児退行するのか、今もそれなのか…。でも有賀を忘れる恐怖が強いのは、それが残ってるからなのか…。
・万夜様は「小太郎は自分のことが嫌いだから、自分が死ねば別のメサイアが組まれて小太郎は幸せになれる」「小太郎に殺されたい」って思ってるの、小太郎が好きすぎるのか、ただの性癖なのか…。
・いつきが記憶失くした時に、有賀が側に居たくないのって、もしかして:「有賀さん」と呼ばれる恐怖
・有賀を忘れてしまう不安に押し殺されそうになるいつきに対し、有賀は最初から「無くなっても大したことじゃない。もう一度思い出をつくればいい」って思ってるとこ、有賀は今のいつきではなく「加々美いつき」という存在がいれば自分のことを忘れていても自分が覚えているから問題ない、と。男らしすぎる。
・「自分を殺してほしい」と思ってる万夜がこれから成長して行って、卒業する時には自分から生きたいと思えるようになってほしい。
・小暮の「僕の代わりはいくらでも」って万夜様と似てるけど違う。
・小太郎の「御神体を生き返らせて、自分の手で殺す」って、「命を何だと思ってるんだ」って、言ってるのと矛盾してるんだよね。万夜が「殺したいんでしょ?」って言うより「人の命を軽く思ってるのって、御神体を殺したいと思ってる君もじゃない?」って言いそうで怖い。
・万夜様ってただの死にたがりだと思ってたけど「勝手にしろ」って言われた時「死にたくない、小太郎に殺されたいんだ」ってことは、野垂死にとか誰かに殺されたいわけじゃなくてあくまでも「小太郎の手で死にたい」であって、そこが一番重要。2人の卒業までにその理由が分かるのか。
・ハングドマンを殺す時にいつきが有賀並みに苦しそうな顔してたのって、有賀の「大切な人を殺す」気持ちが分かるからかな。いつきにとって、おじさんも大切な人「だった」から。
・珀は甘いものに執着する理由がちゃんとあって、いつきが飴に執着する理由もあるんだろうなって思ってたんだけど、きっとチェーカーの影響なんだろうな。でもそれを止めれたのは有賀のおかげなんだろうな。
・チップを取り出して有賀の記憶を無くす不安に、あれだけ執着するのって依存性パーソナリティ障害だから、記憶が無くなった時に、記憶の中に自分の周りに誰もいないっていう状態こそが「怖い」のかな。もう一度思い出をつくる云々よりかは、そっちの気持ちの方が強いのか。
・いつきが飴舐め始めたのって、おじさんの影響だと思うんだけど(真似っこ)でも、深紅で舐めるのやめたのは、依存していたおじさんがいなくなって、今度は有賀が自分の側にいてくれる人って思えたからかな。だから飴が不必要(飴=おじさん)になったのか。
・有賀が自分からお願いとして「一緒に争いのない世界を作りたい」って言ったのに、サードニグマに戻ってしまったら、真逆のこと言ってて、それでもいつきは有賀の本心を知ってるから、サードニグマの有賀が「自分の知ってる有賀ではない」って思えたのかな。
・有賀に撃たれた時に、思わずいつきが銃を有賀に向けるんだけど、すぐに下ろすの、その前のシーンで「俺は自分のメサイアを殺せない」っていう言葉に矛盾してるのに気づいたかのようにハッとしてすぐ下ろすんだよ…本当無理…。
気が付いたら2枚目のチケットの譲渡を探していた。
2回目を見終われば、3枚目を探した。
3回目は東京楽だったので、3回目を観終わって出た言葉は
よし、大阪に行こう
家に帰ってすぐに新幹線とホテルを予約していた。
大阪に最後に行ったのはペダステ*6の野獣荒北編で(漫画でも)最も好きなキャラが主役の舞台を観に行った以来だった。
これはチケットがどうしても取れず、取れたのが大阪(しかも平日)だけだったので、行った記憶がある。
この時、私はまだ地元に住んでいて、とにかく旅費を削りたくてやっすいボロボロのホテルに泊まり、結果的に大阪が軽いトラウマになった。
ボロボロのホテル、怖い。
それから大阪が怖くなって(思いっきり自分の所為という自覚あり)避けていた。
しかし、どうしても3回だけでは足りなかった。
3回も、ではない、まだ3回しか見てない。
加々美いつきを見られるのはこれが最後なのかもしれない、その気持ちでいっぱいだった。
結局大阪は3公演分チケットを探して、大千穐楽にも行けることになったので、行った。
観劇4回目はいつきが「涼」と何回呼ぶのか数えていた。41回呼んでいた。これだけで飯が食える。
OPが始まれば何度見ても鳥肌が立った。
激しく動いた後に、ポーズをキメるOPは、暗転する直前少しだけ肩を揺らしながら息をするいつきに、「生きているんだな」と感じさせられた。
生の人間が演じているのだと。
いつきがヴァイオリンを弾けば、鳥肌がたった。
「俺馬鹿だからさ」「人が死ぬって大変なことなんだよ」と言ういつきに毎回涙が出た。
戦い続けている時に、少しだけ頬を膨らませて一瞬だけ一息つくいつきに、必死に戦っているのだと実感させられた。
大千穐楽、会場が真っ暗になり、流れていたBGMが消える。
有賀が出て来た瞬間に涙が出た。
何度も何度も観た光景で、それに何も泣けるシーンではないのに何故だか大千穐楽は涙が出た。
この一瞬一瞬が、彼らを見る最後なんだと思うと涙が止まらなかった。
あのシーンも、あの台詞も、全てが最後なんだと思うと目に焼きつけたくて仕方なかった。
加々美いつきを見るのが最後だと思うと、涙が止まらなかった。
いつきはいつも笑っているイメージがあった。
でも、悠久ではずっと顔が強張っていて、それが辛かった。
頭に埋め込まれたチップを使っていつまた操られるか分からない、自分のメサイアを殺してしまうかもしれない。
かと言って、取り出しても自分のメサイアを忘れてしまうかもしれない。
そんな不安が思いっきり出ていた。
黒子のアドリブシーンでも、一切笑わなかった。
黒子からちょっかいを出されたいつきに、有賀が笑えばいつきは真顔で有賀のお尻を蹴った日もあった。
有賀と揉めた時に
いつき「流石、自分のメサイア殺した男はちげーわ」
この台詞に私は凄く傷つけられた。
有賀は間宮を簡単に殺したわけじゃない。
色んな葛藤があった中で、彼は間宮を殺すことを決めた。加々美がそれを一番知っているはずなのに、まるで有賀が簡単に間宮を殺したような言い草に心が痛かった。
自分だったら腹が立って、喧嘩になるかもしれない。
でも有賀の返事はただ一言
「落ち着け」
だった。
有賀はいつきが今色々悩んでいることを分かっていたのかもしれない。
だからこそ言い返す訳でもなく、怒るわけでもなくいつきを心配する「落ち着け」だったんだと思う。
この返事に、改めていつきのメサイアは有賀しかいないんだと思った。
そして、一番最後の卒業してチップを取り出したいつきが有賀を助けるシーン。
後ろで自分を助けに来てくれた相手が、誰でもない加々美いつきだと分かりながら、有賀は問う。
有賀「お前は誰だ」
いつき「加々美いつき。お前のメサイアだ」
この時、初めて悠久で笑ういつきを見た。
いつき「涼、一緒にここを出よう」
有賀に嬉しそうに話しかけるいつきに涙が止まらなかった。
声のトーンも全く違う。
ずっと暗くて低かった声が、軽やかな明るい声になっていた。
そこにいたのは、私が知っている、私の好きな加々美いつきだった。
敵と戦って、背中を向けて二人でジャンプをして飛び降りる瞬間に暗転になる。
この時のいつきのジャンプの仕方が凄く好きで、恐らく悠久の好きなシーンベスト5に入る。
両足で高くジャンプしようとするのが、いつきらしいというか、凄く好きで…。
後、これは鋭利の時もだけど、卒業した後の格好が凄く…いいです…。
前髪の分け目を変えているんだけど、凄く…可愛い…好きが溢れます。
卒業後の格好を考えている衣裳係さんやメイクさんにお金をあげたいです。いつも有難うございます。
大千穐楽は1時間にも及ぶカーテンコールだった。
一人一人全員の挨拶には、笑みがあり、暁のカーテンコールで大泣きしていた大志くんも笑っていた。
でも、井澤くんだけは神妙な顔をして、言葉につまり泣くのを耐えていた。
前日に暁で卒業した白崎護役の赤澤くんと電話をしたこと、そして間宮役の染谷くんからメールをもらったこと。
卒業できなかった間宮を含めて5人で卒業するということ。
その話を聞いて、今までの5人のことを走馬灯のように思い出した。
翡翠の前に放送されたドラマ「メサイア-影青ノ章-」でいつきがいない間宮がいた4人を初めて見て、その後の翡翠を見て、そして鋼で間宮を失って、いつきに出会って。
長かったようで短い5人のメサイアの物語だった。
トリプルアンコールでの挨拶で、泣かないと思っていた大志くんは涙を流した。
その涙にまた涙が出た。
そして毎回卒業公演恒例の後輩から花束を受け取った姿を見てようやく「卒業してしまうんだなぁ」と心の底から実感した。
泣いている小暮洵役の橋本真一くんから花束を受け取った大志くんは、真っ赤な目をしていたが、何となく晴れ晴れとした顔をしていた。
花束を持ってスタンディングオーベーションのたくさんの卒業を祝う拍手、そしてたくさんの鼻をすする音がする中、二人は階段を上り、壇上の一番高い位置で強く抱き合った。
花束を高く掲げて、真っ赤な目をしながら、嬉しそうに去って行く姿を私は一生忘れない。
テニミュも卒業はあるが、それは役者の卒業であって、キャラの卒業ではない。
この存在が卒業するということが、見られなくなることが何より辛い。
こんなにもキャラが卒業することが辛いとは思わなかった。
『卒業』この二文字がどれだけ辛いのか、この日を迎えるまで分からなかった。
これから先、大志くんは色んな作品に出るんだろう。
色んな作品に出て、色んな役をやって、たくさん魅力的な姿を見せてくれる。
それでも、それは私が愛した加々美いつきではないのです。
私は加々美いつきが好きだ。
加々美いつきという存在が好きだ。
口が悪くて、協調性がなくて、ちょっとお馬鹿で、後輩には厳しく、でも誰よりも臆病で、人を大切にしようとするいつきが大好きだ。
自分の過去、そして現在ときちんと向き合い、そして有賀というメサイアを見つけ未来に進んでいった加々美いつきを私は誇らしく思う。
ついさっき、井澤くんが書いてくれたブログを読んだ。
有賀としての葛藤と、スタッフへの感謝と、後は加々美いつきに対する思いに、全部頷きながら読んだ。
大志くんの最初の印象が「チャラチャラしてる」には激しく同意したい。
(某番組で、俳優になった理由が『働きたくない』と答えた彼を見て、めちゃくちゃ笑った)
東京、大阪合わせて六公演、観劇した全部の公演が幸せだった。
熱い夏を有難うございました。
加々美いつきを創り出してくれた高殿先生、西森さん。
支えてくれたスタッフさん、今まで出演したキャストさんたち。
メサイアになってくれた有賀涼こと井澤勇貴くん。
そして、誰よりも加々美いつきを愛してくれた大志くんには感謝でいっぱいです。
加々美いつきを好きになれて、幸せです。
大志くんがいつきで良かった。
大志くんにしか演じられない、加々美いつきをつくりあげてくれて有難う。
そして、卒業おめでとう。
最愛なる 加々美いつき様
またいつか悠久の刻の中のどこかで。