こうして日曜日は死にました

推しピのプレが分かんないオタク

4年間待った舞台の話(Being at home with Claude~クロードと一緒に~)

「クロードと一緒に」全公演見終わりました。

 

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全公演と言っても凌くんのイーヴだけ全通で、小早川くんはプレのみ観ました。
(横浜全通はまじキツイ)


結論から言うと、4年間イーヴを待ち続けて良かった。
凌くんがまたイーヴを演じてくれたことに感謝しても仕切れない気持ちでいっぱいです。
他の誰でもない、松田凌のイーヴを私は求めてました。
そして、その期待以上の演技を彼は見せてくれました。
私が俳優仲間だったら、あんな演技見せられたら嫉妬で狂っちゃうな。敗北感。

 

他のキャストさんたちは正直残念でした。

噛みすぎ、演技はただの台本読み、早口…。

正直主演をカバーするはずの3人がカバーされてて残念だった。

刑事は噛みすぎて、前楽と大楽でようやくマシに。

毎回同じとこで噛んでたんで、練習お願いします。

筆記者はもうなんというか…。

早口すぎて初日〜3日目は聞き取るのに必死で。

頑張って聞き取ろうとしてるのに聞き取れない。

読み方も「ただ台本読んでます」ってだけで…うーん。残念すぎた。

次ある時は、切実に変更して欲しいです。

本当に残念でした。

(一緒に行った初見の友人が「独白シーンでイーヴが一人にならなければ、途中退出してた」と言っていたので、同意だけしておきました)

 

台詞は間違ってる可能性が高いので、あまり書きたくない…。
今回、客席周辺と外とキャストで集中できないことがありまくりだったので(これは後で書く)台詞覚えることがあまりできなかった。


その前に、
「クロードと一緒に」
4年前このブログに長々と私が想いを吐き出した作品です。


詳しくはこちら

 

nggggg.hatenablog.com

 

まず、私の話を少しさせてください。


4年前、私は地方の実家に住んでいて、この作品を地方から観に行きました。
土曜日のマチソワ2公演のチケットを握りしめて、どんな話なんだろう、どんな演技するんだろう、とそれはそれは最大級のワクワクだった。
だってあらすじが「男娼」「殺人」そして「R15」ってワクワクしないわけがない。その時の私はそれだけ思って行ってた。
感想、一言で言うなら頭はパンク。

話の内容が分からない、理解できない、難しいし理解できないのに泣いてしまう。主人公のイーヴの気持ちが分かりたいのに分からない。理解できなくて苦しい、涙が出てくる。


ソワレを見終わってまず頭の中は公演のことが離れられなくて、ひたすら台詞が飛び交う。あの空間が忘れられなくて、何も手がつかず。
月曜日の仕事中もずっと頭の中はこの作品でいっぱいだった。
千秋楽は木曜日で平日の昼なので、行けないこともないけど、地方住みなのでそんな1ヶ月に何度も東京には行けなかった(自分のルールとして、制限をつけるために1ヶ月に1回と決めてました)
ましてや土日行ってまた木曜日行くなんてありえない〜〜!!!って感じだったので、ずっと考えてました。
でも、火曜日、水曜日と大楽が近づくにつれ

「今後公演することがないかもしれない」「二度とやらないかもしれない」「やったとしても凌くんじゃないかもしれない」

と思いながら、自分に都合のいい理由をつけて「じゃあ、1500円のバスの予約が残っていたら行こう」と決めて、バスの予約をチェック。


1500円 空席1


神様っているんだなぁと思いました。
1500円の往復のバスを予約して、チケットは当日券狙って行こうと。

これで取れなくてもそれはそれで運だと思いながらも、一応チケット譲ってくれる人を探してみました。


いました。


本当に神様っているんだなってこの時思いました。本当に。
それから朝イチのバスで東京へ行き、大楽を見たけど、結局いまいちイーヴの気持ちはよくは分からなかった。
それより、もっと観に行けば良かったと大後悔。
3回じゃ足りない、もっと観ておけば良かった、と。
舞台ってこういうところが怖いなって思います。

つまらなかったらふーんで終わるけど、大楽が最初で最後なら面白かったらもう増やせないもんね。
本当に怖いです。


そんなモヤモヤを抱えたまま、いつか行われる公演は「全通したいな」という気持ちが広がり、結果翌年に上京。
これだけのために上京しました。本当に。もうそれ以外は何もなかった。

まぁ、田舎すぎて出たいとは思っていたけど、でもきっかけは間違いなくこの作品。人の行動は怖いね。


上京して5ヶ月後の2016年7月には朗読劇という形でこの作品が公演されたけど、私は好きじゃなかった。
シンバルの音はうるさいし、やっぱり朗読だけじゃこの作品の良さは伝わりきれないと思った(全通したけど)


それから待ちました。ひたすら待ちました。
2018年2月14日だったかな、確か。確かバレンタインデーだった気がする。覚えてないけど。

2017年のクリスマス?忘れたけど、何か特別な日だったと思う。
再再演のチラシをTwitterにあげてる人がいた。
公式からは何もない。決定しましたとか何もない。
ただ何かの舞台のチラシに挟まってたのを誰かがTwitterにあげて、それをフォロワーさんが見て、私に連絡が来た。
ばーかみたいに泣いた。
もしかしたら50年後にやるかもしれない、もしくは二度とやらないかもって思ってたので、本当に嬉しかった。キャストは誰でもいいと思いながらも、凌くんがこの役を手放すわけないとも思ってた。
キャスト発表されたのはつい最近だったと思う。イーヴは初演と同じくWキャスト。
凌くんの名前があった。
嬉しくてトイレでひっそりと泣いた。
でも会場が横浜赤レンガだったので、会社からは到底開場時間に間に合わないなぁ、と思ったら、


会社辞めよう


と決断してました。
丁度上司からパワハラも受けてて、辞めたいと思っていたので、いい機会だ辞めちまえと辞めました。

ってことで、完全なる何もない姿で気兼ねなく横浜に通うことにしたんですけど、交通費が10日間で2万オーバーで笑ってしまった。
遠いよ。

 

後、イーヴ大好きマンなのでブリーチして金髪にもした。

カラー入れてしまったので、金髪では行ってなかったけど。

 

この作品が間違いなく私の人生に影響与えまくってる…!!

こういう作品に出会えて良かったー!

愛してるバンザーイ!


初日は小早川くんのプレの方が先だったので、小早川くんから見た。
4年前と同じようなセッティングで、同じような台詞だった。
懐かしいなぁと思いながら、彼のイーヴは私の知ってるイーヴとは全然違った。

髭が生えていて、大人なイーヴだと思った。

それはそれで良き。
椅子に座った時に服が上がって背中が見える時に、お尻と背中の間にタトゥーがあって、あ〜〜〜エロい!
大人なイーヴ、エロいわ〜〜〜〜ってなってしまった。
小さな机が2つあって、本が置いてあってその本を開いてはパラパラ読んで投げたり、机の上にあった紙をグシャグシャにしたりと、凄く不安定なイーヴを表していた。
新鮮なイーヴでした。


2日目
待ちに待った凌くんのイーヴのプレ。
小早川くんとどう違うんだろうと胸を躍らせながら見た。


見終わって思ったことは、何も考えてなかった。



始まる前まで「小早川くんと同じ台詞なのにどういう感じのイーヴになるんだろうな」と軽い感じで考えていたけど、そもそも根本的に何もかもが違った。
演出家が違うので、何もかもが違う。


大きく違うとするなら、最後の40分間のイーヴの独白シーン。
小早川くんは4年前の凌くんと同じでステージにいる刑事に向かって独白する。
でも凌くんは違った。


私たちが刑事だった。
客席全員が刑事だった。


本来の刑事役の役者さんは出て行ってしまって、ステージにイーヴ、そして客席にいる私たちしかいない。
ステージの中心に座っているイーヴは静かにつぶやき始める。


「僕は」


「ラリってなんかいない」


「もっと悪い」


「僕は」


「愛してたんだ」


独白の台詞を全て私たちにぶつける。
圧巻過ぎて、泣いた。
軽く聞こえるかもしれないけど、本当に泣いてしまった。
圧巻、恐怖、涙が止まらなかった。

ひたすら怖くて泣く。

彼が怖くて怖くて。


刑事と話をしていた時は一切客席と目線を合わせなかったのに、私たちが刑事になった途端、彼は客席一人一人に目を合わせるようになる。
それが怖くて仕方なかった。
もう怖すぎて目線逸らそうとしたけど、逸らせなかった。
逸らしたら負けだと思ってた。


「あんたらが飽きたか、ギィの紙がなくなったら言ってよ、やめるから」


「あんたら」って、複数形で言うってことは私たちが刑事ってことなんです。
もうこれ聞いて、大泣きした。
確実に私たちが刑事なんだって。


壇上から降りて、私たちに必死に説明する。


「信じてなくてもいい、ただ理解してほしい」


上手く言える言葉が見つからなくて、もどかしい気持ちになるイーヴに、理解してあげられなくてごめんねって思いながら見てた。
本当にごめんね。


「彼の目をそっと閉じた。父親にはしてあげられなかった。彼が死んだ時、僕はそこにはいなかったから。母親にもしてあげられなかった。彼女は一人で死んだんだ」


「姉さんのことを考えた。警察に電話しなくちゃって」

「考えたことと言えば………腐っちゃうって」


「もうやめるよ」

 

ゆっくりと暗転してから、少し薄暗くなって、ステージにいるイーヴが見える。

ゆっくり立ち上がって、机の上に判事の部屋の鍵を置く。

それから階段をゆっくり降りて行って、退場。

また暗転。


ステージが明るくなって、最初の時のような人々の声が聞こえる。


カーテンコールで出演者は誰一人として出てこなかった。
「本日の公演は全て終了しました」というアナウンスが流れて、ようやくみんな終わったのだと知って拍手をする。
最後まで誰も出てこなかった。
私たちが刑事だから出てこないのかと思った。
私たちがイーヴが嫌いな刑事だから。


そんなプレが終わって、なんて舞台を全通してしまうことにしたんだろうという恐怖。
そして、4年間でここまでの演技ができるようになった凌くんにも恐怖。
言葉ではうまく伝えられないけど、本当に本当に凄いとしか言えなかった。


好きな台詞つらつらと(間違ってる可能性大なので、こんな感じ〜という緩い目で見てほしい)※思い出したら随時更新


「どうしてだと思う?どうして7月初めの夜中に山にわざわざいくんだろうね?」

「いいからさっさと要点を言え」

「いいセックスがしたいからに決まってんだろ。どうだ、要点が分かってハッピーか」


「寝た、起きた、ベッドへ行った、また寝た、起きた」


「彼女は他のメンバーと一緒にフルタイムで働いていた」

「彼の…なんだって?」

「彼女?」

「嘘だ。僕を騙すために言ってんだろ」

「おいおい、しっかりしてくれよ。彼はこの街で初めてガールフレンドができた男じゃなーい」


「頻繁に会ってたのか」

「日記読んだんだから、知ってんだろ」

「黙れ!お前は俺の質問に答えるだけでいいんだ。頻繁に会ってたのか」

「はい」

「喧嘩でもしたのか」

「ない!」

「じゃあ何だ!どうして彼のことを殺したんだ!」

「彼が広場にいると思ったから」

「彼が広場でお前を探すことがあったのか?」

「ない!」


「あんたは同じことを何回も聞いて、僕は同じことを何回も答える。何も音はしませんでした!ジェット機の音も爆弾の音も軍事パレードの音も、路上で手榴弾を見つけることもありませんでした!」


「何時に帰ってきた?」

「5時半、いや6時だったかも」

「その時は酷く疲れてたんだろうな」

「いいや。でも酷い頭痛がした」


「まっすぐ帰ってきたのか?」

「まっすぐ?それどう言う意味?」

「飯に寄ったとか」

 

「いや、腹減ってなかったから」

「何で帰ってきたんだ?」

「歩いて」

「お前の客は車で送ってくれなかったのか?初めての客だったのか?」

「いや、彼のスタイルじゃないだけ。彼はイッた後すぐ恥じるんだ。顔を真っ赤にして。酔ってる時は特に」


「眩しくて眠れなかった。俺、カーテン嫌いなんだ。だから3階に住んでる、前も後ろも見られないから」


「年齢なんて関係ない。男娼は生き方なんだ。何も怖いものなんてないよっていう作り笑い。例え眉までうんこに浸かっても平気な作り笑い。それが上手くできた時は、毛皮の床に寝っ転がってアレを見せる。上手くいかなかった時は、夜中にこっそり抜け出して、腕時計を持ち出す。彼の金額より僕の奉仕が上だと感じたらね」


「木のような彼がイッたのを感じた」

 

この「木のような彼が〜」は刺した後木のように動かなくなったクロードのことかなって思ってます。

つまり、刺されて死んだ後にクロードはイッた。

イーヴが「どんなやつでもイく姿は美しい」みたいな台詞があるんですけど、クロードが死ぬと同時にイッたのは最大に「彼は美しかった」んだと思う。


「未来が見えた」
その未来は、仕事に行っている自分と、友達と言い争いをしている彼。

そんな光景を見て、この関係が続くとは思わなかった。
やっぱり、イーヴは未来のことを考えた時、自分とクロードが一緒にいられるとは思わなかったのかもしれない。
クロードが友だちよりイーヴを選んでくれた時、ようやく本当の「幸せ」が見えたけど、冷静に考えて二人がこのまま一緒にいて、いつか別れる時が来るのが怖かったのかもしれない。
その日が来た時、クロードは泣いてしまうかもしれない。
それが嫌で殺してしまったのかと私は思ってます。


男娼として生きる自分、セックス無しでは生きられない自分が、彼と一生一緒にいることはできないと悟ったのかもしれない。


イーヴはクロードから本物の愛を知ったけど、他人から離れることはできなかった。
人と関わりたくないのに、関わるためには「ケツの穴」で他人と繋がるしかないイーヴは、それしか生き方がない。


なんて悲しい話なんだろうって今更思った。
お互い愛し合っているのに、それだけでは一緒になれなかった。


「電気を消したいけど、あなたをもっと見たいから、ロウソクの灯りもつけたままでいい?」ってクロードに言うところ。
電気を消そうとする仕草をしながら、斜め向こうにクロードを思い描く。
その時、視線は客席にあって、目が合ったんだけど、凄く優しい顔だった。
イーヴはクロードにこういう顔をしていたんだと実感した。

ここが本当に可愛くて〜〜〜〜も〜〜〜〜。


他のシーンもそう。
基本刑事と話をする時は、怒っているかイラついているかなのに、クロードとの思い出を話す時のイーヴは幸せそうだった。


眠れない時に読んだ本の話をするイーヴ。
「友だちに借りたんだ」その友だちはクロードのことだって、イーヴの顔ですぐ分かった。


クロードが本を読み聞かせてくれた時の話をするイーヴもそう。
幸せそうで、凄く目が優しい。

本当にイーヴはクロードと一緒にいることが幸せで仕方なかったんだなと思いました。


反対に、独白前にイーヴが全てはなしおわったとき、刑事が「終わったか?次は俺の番だ」と言って、イーヴがラリってクロードを殺したと考えた話をする。
最初、話し終えたばかりのイーヴは意識があって少し生き生きした目をしていたのに、刑事が「お前が正気を失っていたと俺は考える」と言った途端、目が曇っていく。
漫画で表すと、それこそ目が死んでいくような。
そこが素晴らしかった。

無表情の中でもあんなにすぐ目が死んでいくのは本当に凄かった。
あからさまに目が死んでいく。
「こいつは本当に何も分かってくれない」と刑事に失望するような目に。


死んだ目の流れで言うと、冒頭で言った愚痴なんですけど、思いつくだけ周辺にいた人たち。


・関係者らしきスーツ姿の男性が3分に1回動くから、スーツの擦れる音がずっとする
・女の人が服の上からボリボリ5〜7回掻くから、音がする
・鞄を膝の上に置いているせいで、鞄の金具の音を定期的に鳴らす人
・ずっと電子機器を出しているので、光り続けるライト、そしてずっと何かを言っている独り言、そして走り書きのような筆の走る音(この女は二度と舞台観劇するな)
・マスクをしているせいで、息が荒い人


出て行けーーー!!!出て行けと言っているんだーー!!!(cv.イーヴ)全員二度と来るなーーー!!!!って感じだったんですけど、何より電子機器出してたあの人はもう抹消してください本当。
演者たちが完全に見ていて気付いてたのが、もう…。
近くにいた人たちがハズレすぎて、途中の公演は死んでたんですけど、前楽と大楽は最高だったんで、もう最高です!
前楽と大楽の周辺の人有難う!有難う!


で、赤レンガの愚痴も…(本当申し訳ないけど言わせてください)


・外で毎回フェスが行われていて、前楽と大楽はドイツフェスをしていて、その音楽がダダ漏れ
・汽笛が鳴りすぎて、イーヴがアドリブでキレる
・どの駅からも遠い
・どの日も人が多い


本音を言えば、こんなに遠くて交通の便が最悪でただでさえイライラするのに、外の音だだ漏れでいいところなしなんですよ。 
何でやった…?
次やるとしたらみんな大好きシアタートラムに戻してほしい。切実に。 
サイド席は全部パイプ椅子だし、アイアより酷かった。

 

腹立つことは置いておいて。

もう今更言っても仕方ないので。

でも悲しいから書いちゃう。

 

最後、イーヴが出て行く時、3公演目くらいから、凌くんが酷く泣くんです。

4年前の時もそうだけど、死んじゃうくらい泣いてた、それが悲しくて悲しくて。

前楽でも出て行って、扉閉めて、出て行ったはずなのに凌くんの嗚咽がずっと聞こえてて辛かった。

イーヴが彼の名前を聞くのが嫌だったのは、彼のことを思い出してしまうからだったのかもしれない。

彼のこと、彼との思い出、幸せな思い出を話すと、彼を殺してしまった現実と向き合わないといけない。

 

イーヴがクロードを殺したことを後悔しているかどうか考えた時、きっと後悔してないんだろうなぁ、と思う。

イーヴが見た未来を、現実を見ることがないようにしたんだから。

 

大楽のカーテンコール、ようやく凌くんのイーヴが出てきてくれてわんわん泣いてしまった。
今まで一回も出ないから、大楽もそのスタンスを貫くと思ったら、普通に出てきたーー(笑)
いや、いいんだけども!嬉しいんだけども!

ようやく拍手ができて幸せだった。

あんなに素晴らしい演技してるのに、それを伝えられないのが悲しかった。

 

カーテンコール最後に、赤いジャンパー着てくれて、更に泣いてしまった。

再演の時に赤いジャンパーで最後終わるところが好きだったのに、小早川くんの時には存在すら出てこないし、凌くんの時はあまり触れられないし…。

久々に赤いジャンパー着るイーヴが見れて良かったなぁ。

 

奥に去った後、最後の最後に客席に向けた彼の笑顔が美しくて涙が出た(あ、ダメだ、今思い出しても泣けちゃう)


ずっと苦しい顔をしてきた彼が最後の最後に見せてくれた最高の笑顔だった。
凌くんは「やりきった」って顔をしていた。

眩しかった。眩しすぎた。
なんていうか、微笑み、心の底から幸せそうな綺麗な笑顔だった。


これを見て、待ち続けて良かったと思った。

好きでい続けれて良かった。

4年前この作品に出会えて良かった。


4年前に消化できなかったイーヴの気持ちのモヤモヤがようやく少しだけど解消できて良かった。


美しい物語を有難う。

この作品に出会わせてくれたことを心から感謝したいです。

 

そして、凌くん。

またイーヴを愛してくれて有難う。

凌くんの今出せる力を全部出してくれて有難う。

イーヴが凌くんで幸せでした。


この作品が、4年前の私のように誰かの心に残る作品になれば、幸せです。


また会う日まで。
大好きです、ずっと大好きです。

 

彼を愛してる。


有難うございました。
お疲れ様でした。

平成最後の舞台が、4年間待った舞台で締められるの、最高すぎませんか?

平成に生まれてきて良かった。


最大級の愛を込めて。


Being at home with Claude~クロードと一緒に~

Blanc
2019.4.18〜2019.04.29 終幕

 

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彼の卒業式(メサイア-悠久の刻-感想)

2017年9月24日

大好きな推しが卒業をした。

正式には推しキャラが卒業した。

 

推しこと、加々美いつきに出会ったのは2年前の「メサイア-鋼ノ章-」という舞台だった。

 

そもそもメサイアシリーズは推し(俳優)の太田基裕くんが出ていて(以下もつと書きます)DVDから追い、初めて生で観劇したのはもつが演じていた颯真が卒業した後の公演「メサイア-翡翠ノ章-」だった。


翡翠はこれまた好きな俳優である松田凌くんが演じていた、海棠鋭利とそのメサイアである小野健斗くん演じる御津見珀の卒業公演だった。

 

 

卒業公演とは何か。

 


メサイアの話を簡単に説明すると要は『警察内部に密かに存在するスパイ組織(通称:チャーチ)に所属するサクラと呼ばれる構成員たち』の話だ。


もっと簡単に説明するとつまりはスパイの話だが、ただのスパイではなくメサイアが人気な最大の要因は別にある。

 

 

チャーチ内にはいくつか鉄の掟がある。
サクラは、チャーチについて沈黙を守らなければならない
サクラは、チャーチを出れば二度と接触してはならない
サクラは、任務に失敗したサクラを救助してはならない
サクラは、友人や恋人になってはならない
ただ一人の例外"メサイア”を除いて

 

 

メサイアという、心の伴侶の存在が彼らにはあった。

 

そこが一番の話の盛り上がりだと私は勝手に思っている。題名で使われているわけだし。


サクラ同士で助けたり、友人・恋人になってはいけないが、自分のメサイアだけは何かあった時に助けることができる、もしくは助けてもらうことができる。

この関係性に観ている側は惹かれる。


少なくても私はこの設定を見た時、強く惹かれた。

 


この設定だけでも「え、何これ気になる…」と思った方は、まずはこちらからどうぞ。

(一番最初の話、「メサイア-漆黒ノ章-」です)

 

チャーチにいる間のサクラは「サクラ候補生」として日々ミッションを行い成長していく。


そして、卒業ミッションを果たし、合格した者だけが「サクラ」として国のために命をはって戦う。

 


文字通り彼らは「卒業」をする。

 
 

凌くんは、初演からずっと鋭利を演じていて、舞台と映画とドラマを合わせたら、6作のメサイアに出ている(卒業公演の後に出た外伝*1を入れて6作)


もつが演じた颯真は3作目で卒業したからなのか、感覚的に鋭利は卒業まで長かった印象が強かった。(結局颯真も卒業後に2作出演するが)

 


私はこの凌くんが演じる鋭利が大好きだった。


だからこそ、鋭利がいなくなって、新しいサクラ候補生4人が出て来た時の、今後のメサイアに不安があった。


今までの4人以上に面白い作品になるのか、今までと変わらず好きでいられるのか、とか。

沢山の気持ちがあった。


翡翠ノ章は鋭利と珀の卒業メインの話だった。

新人4人の出番はイマイチで、4人の魅力をこの時はまだ感じられなかった。

 

それからすぐに次回作が発表され、卒業したはずの颯真が出ることになった。


それこそが2年前の「メサイア-鋼ノ章-」という舞台だった。

 

ここで私は、加々美いつきと出会うことになる。

 

 

いつき役を演じている杉江大志くんは、テニミュ*2の全国立海で初めて生で見ていた。

 

大志くんがその時に演じた一氏は、正直好きでも嫌いでもないキャラで、大志くんの名前は覚えたがそういう若手俳優がいるんだなという印象で終わった。


現実、他の作品に出た時も「大志くん出るのか~」といった感じで特に深い印象のある役者ではなかった。

 

それこそ「あの人テニミュにも出てたなぁ」といった反応が出るだけだった。

 

それは大志くんに限らず、他の役者に対してもよくあることで、特に深い意味があるわけじゃない。

 

 

メサイアも同じで最初は「出るのか~」といつものように思っただけで、特に深い印象はなかった。


どんなポジションか、敵か味方か。

気になったのはその辺だけだった。

 

むしろビジュアルを見ただけの時は

「これ絶対北方のスパイじゃん!」

と言っていたし、

「周とメサイア組むのでは?」

とかも言っていた。

今思い返せばとんでもない展開に笑う。

 

 

鋼ノ章のチケット倍率は異常だったが、なんとか手に入れ観に行くことができた。

久々の颯真が楽しみだった。

 

が、それはすぐに別の意識へ向けられることになる。

 

 

大志くん演じるいつきを初めて見た瞬間に

 

「あ、この子好きだな」

 

と思った。

それは直感だった。

顔なのか、髪型なのか、ビジュアルなのか、何かが私の心を捕らえた。

 


クルクルした強めのパーマをして、飴を咥えて、生意気に喋る彼が自分の好きなキャラに当てはまっていた。

 

こう、謎めいたキャラクター性に魅力を感じた。


飴を舐めるという行為は、色んなことを考えさせてくれた。

 

単純に飴が好きなのか、甘いものが好きなのか、飴を舐めることで精神的に平常心を保っているのか、昔に何かあったのか。

 

更に、未登場の「おじさん」という発言に、いつきのおじさんとは誰なのか。

一嶋係長*3なのか?とか色々考察できた。

 

 

鋼は誰の卒業公演でもなかったが、染谷俊之演じる間宮星廉と、そのメサイアである井澤勇貴演じる有賀涼の話が主としてあった。


間宮ショック*4を私も見事に受けた。


白銀と翡翠メサイアの恐ろしさ(あまりにも重い内容)は分かっていたはずなのに、卒業公演じゃないのにこの恐ろしさに、改めてメサイア怖いと思った。精神的にキた。

 

鋼が終わってからすぐ後に、「メサイア-深紅ノ章-」という映画が公開された。


卒業したはずの颯真がまた出たので、すぐに観に行った。

 

 

この深紅で、私は確実に加々美いつきに落ちたと思う。

 

 

深紅で有賀のメサイアにいつきはなっていて、最初は生意気だった彼は徐々に変わっていった。


何より飴を舐める行為がいつきのアイデンティティーだと思っていたが、いつきは深紅の最後に飴を舐めるのを止めた。


その理由が「舐める必要がなくなったから」だ。
彼の過去をこの時は何も知らない。

それでも、彼が変わっていくのが嬉しかった。

 

 

深紅の後の舞台「メサイア-暁乃刻-」でついに大きな出来事が起きた。

いつきが有賀に「名前で呼んでください」と頼んでいた。

心臓発作起こすかと思った。

 

 

これまでのメサイアを思い返せば、どのメサイアも名前で呼んでいて、これはずっと自分の中で思っていたことだけど、有賀がいつきのことを名前で呼び、いつきが有賀のことを名前で呼ぶことができれば、本当のメサイアになるのでは?とずっと思っていた。


自分で思っていただけで、有賀が「いつき」と呼ぶとは思えなかったし、いつきが「涼」と呼ぶとも思えなかったから、自分のただの妄想だと思ってた。

いつきが「有賀さん」って呼ぶのが好きだったから、複雑な気持ちもあった。


急にどうしていつきが「名前で呼んでください」と言ったのか分からない。

けど、名前を呼ばれることで更なる親しみを有賀から感じたかったのかもしれない。

硬派な有賀が誰かのことを親しく名前で呼ぶことで、自分が有賀のメサイアだと思いたかったのかもしれない。


全部自分の妄想だけど、控え目に言っても最&高である。


劇中最初は「いつき」と呼べなかった有賀が「いつき」と呼んだ時に、自然と涙が出た。


間宮のことを「星廉」と呼ぶ日が彼にはあったのかもしれない。

それでも呼ぶことはなく、加々美いつきと出会った。そして、二人はメサイアになった。


この暁で、鋼の時にいつきが言っていた「おじさん」が出てくるのだが、クズすぎて私はおじさん絶対殺すマンと化した。許さないぞチェーカー。

 

 

そして「メサイア外伝 -極夜Polar night-*5」が映画公開された。


最初の「メサイア-銅ノ章-」で評議会という敵組織に所属していた三栖と周がメインで、初日に観に行った。

※三栖さんと周に関しては話すと長くなるので省略します。

 

この映画で、いつきの出番は1分くらいだったが、

 

 

いつき「有賀さーーん!有賀さん!お風呂行きましょうーーー!!」

 

 

死ぬかと思った。

控え目に言って可愛すぎて死ぬかと思った。
映画での一声目がこれだった。

姿はない。

声だけでこの一言目。


そして、風呂場でみんなと話をするシーンの2つだけの登場だったが、正直最初の有賀を呼ぶ声でいつき満足度120%になったので、結果的には満足した。


有難う、外伝スタッフ。

間宮を軽率に出したのは許してないが。

 

 

そして今回の舞台「メサイア-悠久乃刻-」

公演
東京:2017年8月31日(木)〜9月10日(日)、大阪:2017年9月22日(金)〜9月24日(日)
会場

銀河劇場、大阪:サンケイホールブリーゼ

出演

井澤勇貴、杉江大志 / 長江崚行山沖勇輝、橋本真一、山本一慶 / 大塚公祐、小谷嘉一、山田ジェームス武、宮城紘大、荒木健太朗、西野龍太、豊嶋杏輔 / 村田充 / 中原裕也 ほか

 

最初は行かないつもりだった

 

いつきの卒業公演と知っていたが、なんとキャスト先行に全滅した。

最近チケットが死ぬほど当たらない。


基本的にチケットを自力で取れないと「運が無かったのだな」と行くのを止めてしまう癖があるので、
だから、悠久も行くつもりがなかった。


それでも、公演が近づく中で「これが最後」「最後に見られるいつき」だと思うと、やっぱりチケットを探していた。


行かないと後悔するというのは、クロードと一緒にで勉強していたからだ。

 

有り難いことにチケットを譲っていただいて、観に行った。


取り合えず一言で言えば翡翠でも暁でも泣いたが、悠久はそれ以上に号泣した。

 

 

※以下だらだらとツイッターで流した感想と加々美いつきが最高なところ(自分の記録用)

 

 

・有賀といつきの関係性もそうだが、色んな場面で間宮の影を見た。
間宮の死を「死は美徳」にするのがずっと嫌だった。
最初の間宮は悠里とメサイアで、その後有賀とメサイアを組んだ。しかも有賀は間宮の旋律で救われてて、そしてその男は救ってくれた相手を殺して、それが美徳になるんじゃないかって怖かった。
だから鋼以降ずっと間宮のことはモヤモヤしてた。
間宮をいつまで引きずるのかなって。
悠久でいつきが有賀の心の穴を埋めるために、実はヴァイオリンを練習していて、そのヴァイオリンで有賀の記憶を思い出させようとしたけど、結局はヴァイオリンで有賀がいつきを思い出すことはなった(弾かなかったというのもあるが)結局はいつきの思いで有賀は救われたから、間宮はいつまでも心の中にはいるけど二人には必要ないんだと思う。
これでようやく間宮から抜け出せた気がする。
雛森に対して「舐めんじゃねーぞ、新入り」って言う加々美いつき控え目に言って最高
・いつきは「間宮のヴァイオリンを聞かせれば、今までのこと思い出すかも!」って思ったんだろうけど、そうじゃないんだよ…。
もう有賀の心の中には間宮よりもいつきの方が強くいるんだよな。
・初期メンバー4人は自分のメサイアが死んだとしても「どこが生きてる」って信じ続けてるけど、次の4人は依存症が強すぎるから死んだって分かったら自殺しそう。
・間宮のヴァイオリンで世界が変わった有賀のために、いつきがヴァイオリンの練習をしてただけでも大きいことなのに、それを聞かせて自分のことを思い出させようとしてた。でも、結果的にはいつきの想いで思い出させた辺り、間宮ではなくいつきが有賀のメサイアなんだなぁって。
・万夜様の「僕は君に殺されたい」って、これ卒業ミッションで「小太郎を殺せ」になった時どうなるのかなぁって。
・いつきの依存性パーソナリティ障害って、基本的なことさえも誰かに面倒を見てもらいたいっていう過剰すぎる要求なんだけど、これ有賀が死んだところとか見た時どうなるのかなぁ…自殺しそうだなぁとふと思う。「昔はベタベタくっついて〜」ってクズおじちゃん言ってたから、夢見が悪かったりすると幼児退行するのか、今もそれなのか…。でも有賀を忘れる恐怖が強いのは、それが残ってるからなのか…。
・万夜様は「小太郎は自分のことが嫌いだから、自分が死ねば別のメサイアが組まれて小太郎は幸せになれる」「小太郎に殺されたい」って思ってるの、小太郎が好きすぎるのか、ただの性癖なのか…。
・いつきが記憶失くした時に、有賀が側に居たくないのって、もしかして:「有賀さん」と呼ばれる恐怖
・有賀を忘れてしまう不安に押し殺されそうになるいつきに対し、有賀は最初から「無くなっても大したことじゃない。もう一度思い出をつくればいい」って思ってるとこ、有賀は今のいつきではなく「加々美いつき」という存在がいれば自分のことを忘れていても自分が覚えているから問題ない、と。男らしすぎる。
・「自分を殺してほしい」と思ってる万夜がこれから成長して行って、卒業する時には自分から生きたいと思えるようになってほしい。
・小暮の「僕の代わりはいくらでも」って万夜様と似てるけど違う。
・小太郎の「御神体を生き返らせて、自分の手で殺す」って、「命を何だと思ってるんだ」って、言ってるのと矛盾してるんだよね。万夜が「殺したいんでしょ?」って言うより「人の命を軽く思ってるのって、御神体を殺したいと思ってる君もじゃない?」って言いそうで怖い。
・万夜様ってただの死にたがりだと思ってたけど「勝手にしろ」って言われた時「死にたくない、小太郎に殺されたいんだ」ってことは、野垂死にとか誰かに殺されたいわけじゃなくてあくまでも「小太郎の手で死にたい」であって、そこが一番重要。2人の卒業までにその理由が分かるのか。
・ハングドマンを殺す時にいつきが有賀並みに苦しそうな顔してたのって、有賀の「大切な人を殺す」気持ちが分かるからかな。いつきにとって、おじさんも大切な人「だった」から。
・珀は甘いものに執着する理由がちゃんとあって、いつきが飴に執着する理由もあるんだろうなって思ってたんだけど、きっとチェーカーの影響なんだろうな。でもそれを止めれたのは有賀のおかげなんだろうな。
・チップを取り出して有賀の記憶を無くす不安に、あれだけ執着するのって依存性パーソナリティ障害だから、記憶が無くなった時に、記憶の中に自分の周りに誰もいないっていう状態こそが「怖い」のかな。もう一度思い出をつくる云々よりかは、そっちの気持ちの方が強いのか。
・いつきが飴舐め始めたのって、おじさんの影響だと思うんだけど(真似っこ)でも、深紅で舐めるのやめたのは、依存していたおじさんがいなくなって、今度は有賀が自分の側にいてくれる人って思えたからかな。だから飴が不必要(飴=おじさん)になったのか。
・有賀が自分からお願いとして「一緒に争いのない世界を作りたい」って言ったのに、サードニグマに戻ってしまったら、真逆のこと言ってて、それでもいつきは有賀の本心を知ってるから、サードニグマの有賀が「自分の知ってる有賀ではない」って思えたのかな。
・有賀に撃たれた時に、思わずいつきが銃を有賀に向けるんだけど、すぐに下ろすの、その前のシーンで「俺は自分のメサイアを殺せない」っていう言葉に矛盾してるのに気づいたかのようにハッとしてすぐ下ろすんだよ…本当無理…。

 

 

気が付いたら2枚目のチケットの譲渡を探していた。

 

 

2回目を見終われば、3枚目を探した。

 


3回目は東京楽だったので、3回目を観終わって出た言葉は

 

 

よし、大阪に行こう

 

 

家に帰ってすぐに新幹線とホテルを予約していた。

 

大阪に最後に行ったのはペダステ*6の野獣荒北編で(漫画でも)最も好きなキャラが主役の舞台を観に行った以来だった。


これはチケットがどうしても取れず、取れたのが大阪(しかも平日)だけだったので、行った記憶がある。


この時、私はまだ地元に住んでいて、とにかく旅費を削りたくてやっすいボロボロのホテルに泊まり、結果的に大阪が軽いトラウマになった。

ボロボロのホテル、怖い。


それから大阪が怖くなって(思いっきり自分の所為という自覚あり)避けていた。


しかし、どうしても3回だけでは足りなかった。

 

3回も、ではない、まだ3回しか見てない。


加々美いつきを見られるのはこれが最後なのかもしれない、その気持ちでいっぱいだった。

 

結局大阪は3公演分チケットを探して、大千穐楽にも行けることになったので、行った。

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観劇4回目はいつきが「涼」と何回呼ぶのか数えていた。41回呼んでいた。これだけで飯が食える。


OPが始まれば何度見ても鳥肌が立った。

 

 

激しく動いた後に、ポーズをキメるOPは、暗転する直前少しだけ肩を揺らしながら息をするいつきに、「生きているんだな」と感じさせられた。

生の人間が演じているのだと。

 

 

いつきがヴァイオリンを弾けば、鳥肌がたった。

 


「俺馬鹿だからさ」「人が死ぬって大変なことなんだよ」と言ういつきに毎回涙が出た。

 

 

戦い続けている時に、少しだけ頬を膨らませて一瞬だけ一息つくいつきに、必死に戦っているのだと実感させられた。

 

 

千穐楽、会場が真っ暗になり、流れていたBGMが消える。


有賀が出て来た瞬間に涙が出た。


何度も何度も観た光景で、それに何も泣けるシーンではないのに何故だか大千穐楽は涙が出た。

 

この一瞬一瞬が、彼らを見る最後なんだと思うと涙が止まらなかった。


あのシーンも、あの台詞も、全てが最後なんだと思うと目に焼きつけたくて仕方なかった。


加々美いつきを見るのが最後だと思うと、涙が止まらなかった。

 

 

いつきはいつも笑っているイメージがあった。
でも、悠久ではずっと顔が強張っていて、それが辛かった。


頭に埋め込まれたチップを使っていつまた操られるか分からない、自分のメサイアを殺してしまうかもしれない。

 

かと言って、取り出しても自分のメサイアを忘れてしまうかもしれない。

そんな不安が思いっきり出ていた。

 

 

黒子のアドリブシーンでも、一切笑わなかった。
黒子からちょっかいを出されたいつきに、有賀が笑えばいつきは真顔で有賀のお尻を蹴った日もあった。

 

有賀と揉めた時に

 

 

いつき「流石、自分のメサイア殺した男はちげーわ」

 

 

この台詞に私は凄く傷つけられた。

 

 

有賀は間宮を簡単に殺したわけじゃない。

 

色んな葛藤があった中で、彼は間宮を殺すことを決めた。加々美がそれを一番知っているはずなのに、まるで有賀が簡単に間宮を殺したような言い草に心が痛かった。

 

自分だったら腹が立って、喧嘩になるかもしれない。

でも有賀の返事はただ一言

「落ち着け」

だった。


有賀はいつきが今色々悩んでいることを分かっていたのかもしれない。

だからこそ言い返す訳でもなく、怒るわけでもなくいつきを心配する「落ち着け」だったんだと思う。

 

この返事に、改めていつきのメサイアは有賀しかいないんだと思った。

 

 

そして、一番最後の卒業してチップを取り出したいつきが有賀を助けるシーン。

 

後ろで自分を助けに来てくれた相手が、誰でもない加々美いつきだと分かりながら、有賀は問う。

 

 

有賀「お前は誰だ」
いつき「加々美いつき。お前のメサイアだ」

 

 

この時、初めて悠久で笑ういつきを見た。

 

 

いつき「涼、一緒にここを出よう」

 

 

有賀に嬉しそうに話しかけるいつきに涙が止まらなかった。

声のトーンも全く違う。

 

ずっと暗くて低かった声が、軽やかな明るい声になっていた。

 

 

そこにいたのは、私が知っている、私の好きな加々美いつきだった。

 

 

敵と戦って、背中を向けて二人でジャンプをして飛び降りる瞬間に暗転になる。


この時のいつきのジャンプの仕方が凄く好きで、恐らく悠久の好きなシーンベスト5に入る。

 

 

両足で高くジャンプしようとするのが、いつきらしいというか、凄く好きで…。
後、これは鋭利の時もだけど、卒業した後の格好が凄く…いいです…。
前髪の分け目を変えているんだけど、凄く…可愛い…好きが溢れます。

 


卒業後の格好を考えている衣裳係さんやメイクさんにお金をあげたいです。いつも有難うございます。

 

千穐楽は1時間にも及ぶカーテンコールだった。

 

一人一人全員の挨拶には、笑みがあり、暁のカーテンコールで大泣きしていた大志くんも笑っていた。

でも、井澤くんだけは神妙な顔をして、言葉につまり泣くのを耐えていた。

 

前日に暁で卒業した白崎護役の赤澤くんと電話をしたこと、そして間宮役の染谷くんからメールをもらったこと。

 

卒業できなかった間宮を含めて5人で卒業するということ。

 

その話を聞いて、今までの5人のことを走馬灯のように思い出した。

 

翡翠の前に放送されたドラマ「メサイア-影青ノ章-」でいつきがいない間宮がいた4人を初めて見て、その後の翡翠を見て、そして鋼で間宮を失って、いつきに出会って。

 

 

長かったようで短い5人のメサイアの物語だった。

 

 

トリプルアンコールでの挨拶で、泣かないと思っていた大志くんは涙を流した。

その涙にまた涙が出た。

 

そして毎回卒業公演恒例の後輩から花束を受け取った姿を見てようやく「卒業してしまうんだなぁ」と心の底から実感した。

 

泣いている小暮洵役の橋本真一くんから花束を受け取った大志くんは、真っ赤な目をしていたが、何となく晴れ晴れとした顔をしていた。

 

 

花束を持ってスタンディングオーベーションのたくさんの卒業を祝う拍手、そしてたくさんの鼻をすする音がする中、二人は階段を上り、壇上の一番高い位置で強く抱き合った。

 

 

花束を高く掲げて、真っ赤な目をしながら、嬉しそうに去って行く姿を私は一生忘れない。

 

 

テニミュも卒業はあるが、それは役者の卒業であって、キャラの卒業ではない。
この存在が卒業するということが、見られなくなることが何より辛い。
こんなにもキャラが卒業することが辛いとは思わなかった。

 

『卒業』この二文字がどれだけ辛いのか、この日を迎えるまで分からなかった。


これから先、大志くんは色んな作品に出るんだろう。

色んな作品に出て、色んな役をやって、たくさん魅力的な姿を見せてくれる。

 

 

それでも、それは私が愛した加々美いつきではないのです。

 

 

私は加々美いつきが好きだ。
加々美いつきという存在が好きだ。
口が悪くて、協調性がなくて、ちょっとお馬鹿で、後輩には厳しく、でも誰よりも臆病で、人を大切にしようとするいつきが大好きだ。

 

自分の過去、そして現在ときちんと向き合い、そして有賀というメサイアを見つけ未来に進んでいった加々美いつきを私は誇らしく思う。

 

ついさっき、井澤くんが書いてくれたブログを読んだ。

 

有賀としての葛藤と、スタッフへの感謝と、後は加々美いつきに対する思いに、全部頷きながら読んだ。

 

大志くんの最初の印象が「チャラチャラしてる」には激しく同意したい。

(某番組で、俳優になった理由が『働きたくない』と答えた彼を見て、めちゃくちゃ笑った)

 

 

東京、大阪合わせて六公演、観劇した全部の公演が幸せだった。

熱い夏を有難うございました。


加々美いつきを創り出してくれた高殿先生、西森さん。
支えてくれたスタッフさん、今まで出演したキャストさんたち。
メサイアになってくれた有賀涼こと井澤勇貴くん。


そして、誰よりも加々美いつきを愛してくれた大志くんには感謝でいっぱいです。


加々美いつきを好きになれて、幸せです。
大志くんがいつきで良かった。
大志くんにしか演じられない、加々美いつきをつくりあげてくれて有難う。

 


そして、卒業おめでとう。

 

 


最愛なる 加々美いつき様
またいつか悠久の刻の中のどこかで。

*1:映画:メサイア外伝 -極夜Polar night-

*2:若手俳優の登竜門とされている、ミュージカルテニスの王子様

*3:サクラ候補生の指導者。元々はサクラ

*4:間宮とは…悠里→有賀のメサイア。鋼で敵スパイとして最終的に自身のメサイアである有賀に殺された。鋼の次作である深紅の出演者にいなかったことから、鋼の公演前から「もしや死ぬのでは…?」と噂され、予想通り初日から間宮の死を信じたくない人たちが大量に発生した

*5:暁のちょっと前の話

*6:舞台弱虫ペダル

沼でもハマらない(Being at home with Claude~クロードと一緒に~ 昼夜)

※4月23日大千秋楽行ってきて、台詞だいぶ違ったので、修正します。(修正しました)

 

Being at home with Claude~クロードと一緒に~

2015年4月17日~4月23日@シアタートラム

<出演>

「彼」:自首してきた若い男娼。

松田凌

刑 事:殺人事件の取り調べを行う。

速記者:刑事のアシスタント。事件の調書を作成するため取り調べの記録を行う。

山口大地唐橋充

警護官:裁判所の警備にあたっている。年齢不詳。

鈴木ハルニ

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※R15作品なので、そういう描写が出てきます。

 

苦手な人は読まないように気を付けて。

 

 

 

 

 

クロードと一緒に18日マチソワ行きました。

※その後、予定にはなかった23日大千秋楽も行きました。

チケット取ってからずっと待ってた作品。当日までドキドキで心臓が痛い日々だった。

 

「刑事」と「速記者」を大地くんと、唐橋さんが入れ替えで演じるスウィッチ・キャスティングなので、丁度マチソワで違ったので、マチソワでチケット取って行きました。

 

ステージ上は斜めになってて、不思議な形をしてた。

マチは唐橋さんが刑事で、席はYだったから前方の真横(下手側)だった。

大地くんが刑事のソワレは、正面後方下手側。ステージの前方に机があって、上手側にもう一つ机がある。

Y席がある下手側は特に机とかなしだったので、目の前に来ると凄く近いし、はっきり見える。

ただ、上手の机に行かれると、表情が見えなさそうだなって始まる前から思ってました。

 

始まる前、音楽はかからないし、客席も喋らないのでとにかく静か。

そこにいることすら耐えられないくらい静かで、息するのさえ許されないかと思った。

始まってないのにすでに息苦しさが漂う雰囲気で、あんな静けさを普通では体験できないと思った。ある意味貴重。

あまりにも息苦しいので、早く始まってくれないかなと。この空間から早く脱したかった。

 

10分くらい待ってると曲がかかって、ライトが消えた。

凌くんが出てきて、その後他の出演者も出てくる。

刑事とイーブが睨み合って、カーンってゴングが鳴って始まり。

 

話の内容は上手く言えない、説明できない。

もうとにかく一言で言うなら「圧巻」

凄いとかそういうのじゃない…何て言うんだろう、難しい。

 出演者のファンなら、観ないと一生後悔するだろうなって作品でした。 

 

覚えている台詞を箇条書きに。言った順番はめちゃくちゃです…。

ただ、合っていない部分も多いと思うので、なんとなくこんなこと言っていた程度で読んでください…一文字一文字覚えることができない。

あと、言ってる意味違うよ!だったらごめんなさい。ほんと。

早口で結構聞き取れない個所多くて…頑張ったんですけどね…。

唐橋さんの時と大地くんの時とごっちゃですけど、台詞なのであんま変わらないです。

公式さん、早く台本発売してください。頼みます。 

 

◇◇◇

 

刑事「それで、お前はいつ俺たちに話してくれるんだ!」

彼「もう…何十回言わせるんだよ!いいか、録音と録画して、僕が言うこと一字一句逃さないように地図にも書いとけよ!」

 

彼「この時ずっと走っていたことに気がつく、と同時に、走っていたことに気がつかなかったことにも気がつく」

 

刑事「で、お前はジャリ駅から電車に乗って、ボナヴァンチュール駅で降りた。それから、フェンスに座った?」

彼「そうだよ」

 

刑事「そこに立つとポリ公に写真撮られるぞ。さっきから3回もそこに立ってるだろ」

 

刑事「山に何しに行くんだ?」

彼「はぁ?何それひっかけ?僕のことそうやって遊んでんの?」

刑事「何しに行くんだろうな?男の喉かっさばいてから、こんな真夏に山に何しに行くか教えてくれませんかね?」

彼「真夜中の暑い日に山に何しに行くかだって?セックスに決まってんだろ!?」

 

刑事「もう36時間だぞ!?土曜の深夜にお前が俺たちを呼び出して、今何時だと思う?月曜の朝だ!それなのに話は土曜日からまったく進んでいない!『名前は?』『言いたくない』『職業は?』『ファック!』『何でその仕事をしている?金の為か?』『男娼は生きること』」

 

彼「そいつ出て行けよ!」

刑事「こいつが出て行ったらお前は自分の名前も殺されたあの人の名前も言うんだな!?

彼「そいつ薄気味悪いんだよ!!さっきから書いてばっかりで何も喋らないし、あんたはそれを読んでない!珈琲のズズッて音だけ出して…気味が悪いんだよ…」

 

彼「あの人の家だよ」

刑事「あの人?」

彼「あの人だよ」

刑事「外傷者の名前は…」

彼「やめろ!!軽々しく呼ぶな!!」

刑事「自分の名前は言わない、外傷者の名前は呼ぶな。俺たちにどうしろってんだ」

 

刑事「もう少しで誕生日なのか」

彼「なんで知って…」

刑事「いい名前だな」

彼「……」

刑事「イーブ」

彼「……」

刑事「俺たちがバカで間抜けな警察官だと思ったのか?こいついつ名前言ってくれるのかな〜って待っているとでも思ってんのか?馬鹿にするのもいい加減にしろ!」

 

刑事「扉の向こうに、姉さんがいたらどうする?」

彼「…ねぇ、あんたのメンツ潰してあげようか?」

刑事「どうぞ?」

彼「姉さんは車で片道3日もかかるところへバカンスに行っているんだ、だから今ここにいるはずがない」

刑事「……それで、家に帰ってきてから」

彼「ねぇ!」

刑事「…何だ」

彼「さっきの話…日記の話って本当?」

刑事「気になるのか」

彼「…別に」

 

刑事「彼の彼女は」

彼「はあ?あの人のなんだって?」

刑事「彼女、ガールフレンドだ」

彼「嘘だ!!でっちあげだ!」

刑事「嘘?こんな男前、女が離してるわけねーだろ。お前は彼に彼女がいたことすら知らなかった」

 

刑事「彼が男と寝る男か聞いたら、彼女、顎外れるくらい絶叫したんだってよ」

 

刑事「部屋の中から外傷者以外に2つ指紋が出てきた。ひとつはお前ので、もう一つは彼女のだ」

 

彼「彼女の名前」

刑事「は?」

彼「彼女の名前だよ」

刑事「お前が質問するんじゃない!俺が質問する側だ!お前は俺の質問に答えるだけでいいんだ!」

 

刑事「彼女が言ってたよ、殺した犯人は……、キチガイだ!って叫んでたよ!俺もそう思うね」

 

刑事「死んだ男は近くに置いてあったナイフで喉をかっきれられてる。男は全裸でイッているからレイプじゃない。服が破られた形跡もない」

 

彼「その日は眠れなかった」

刑事「それでなんだ?マリファナでもやったのか?」

彼「する日もあるけど、その日は気分じゃなかった。顔を洗ってすぐにベッドに戻って羊を数えて寝たよ」

 

刑事「お前は隣の家の女の電話を借りた。そのお礼にとマリファナをプレゼントした、クリスマスまでずっとラリってられるくらいにだ!おかげでその女、自分の名前も言えなくなっちまったよ」

 

彼「フェンスに座ったら町が見えて、家の中が見えた。テレビを見ているようだった。金持ちになりたかった。父さんが子供の頃、おじいちゃんは金持ちだった。ルイ13世からもらった家具が一式揃ったアパートが1件あった」

 

刑事「匿名で男が死んでいると通報があった。駆けつけると男が仰向けで全裸で大の字で死んでいた。部屋中にはお前の指紋だらけ、でも凶器のナイフにはお前の指紋はなかった。テーブルの料理には血がびっしりで、料理は血がつく前には冷めていたと分かった」

 

刑事「いいか、今度客を取るときは毎日買った男の名前と金額を日記に取るような文学少年はやめておけ。日記からイーブと言う名前が6月1日から1日1ページ出てくる。出会ったのは前日か?」

彼「日記…?」

 

刑事「1行に1回イーブと言う名前が出てくる、それはお前のことか?」

彼「さっきは1ページに1回って言った」

刑事「どっちも一緒だ」

 

彼「あの日は万博もあって、観光客がたくさんいたから、広場のやつらと『ケツの穴が3つあっても足りない、かきいれ時だぜ!』って。それを話したけど、笑ってくれなかった」

刑事「どうしてだ」

彼「ただギャグとしてはつまんなかっただけ」

刑事「そうか?俺は結構面白かったぞ」(←この台詞は大千秋楽でした)

 

彼「少し寝た」

刑事「少しってどれくらい」

彼「いや、寝てない」

刑事「寝てない?木曜日の朝から金曜日のお昼までか?」

彼「違う、胃が痛かったんだ!こう、刺されているような痛みで!本当だ!僕は嘘なんてついてない!どうせまたラリってるとでも思ってるんだろ!?違う、僕は本当に痛かったんだ!朝起きてもこう、寝ているのか寝ていないのか分からない、こういう気持ちってあるだろ?眠いのか眠くないのかもう分からなかった」

刑事「胃はもう大丈夫なのか」

彼「うん…今はもう大丈夫」

 

彼「僕の家の時計は進んでいるんだ。何時かなんて分かんないよ。多分11時頃かな」

 

彼「どうしてそうやって、話を無理矢理全部繋げようとするかな…」

 

刑事「学力もあって、男前で、真面目な文学少年と、お前みたいな世の中のクズが出会うなんてありえない。彼は友達がいくら借りたか全部書いてた、彼女のもだ。それなのにそこにお前の名前はない、マリファナとアルコールの検出もされてない。それならどこでお前らは出会うんだ」

 

刑事「OK、もう一度最初っから話をしよう。お前の名前はイーブ、でいいな?そして殺されたのは、クロード」

 

刑事「駅で電話をかけたんだな?」

彼「うん」

刑事「それからフェンスに座って、しばらくしたらそこから走って公園まで行って電話をかけなおした。どうしてそこの公園まで走ったんだ」

彼「分かんない。なんとなくだよ、なんとなく、なんとなく走ってたら公園だった」

 

刑事「前の日から次の日の朝まで起きていた?おいおい、大の大人が寝るには随分足りないな?」

 

刑事「俺はお前みたいなやつをこれでもかってくらい見てきた。学費が払えなくてやり始めて、払った途端辞めたやつ。ご飯が食べられなくてやり始めたやつ。ラリってるときにヤったらハマって抜けられなくなったやつ。ビールを飲むためだけに始めたやつもいた。金持ちで暇つぶしのためにやってるやつもいる。こっちも可愛いと思うやつ、引くような50代のおっさんもいた。外見も歳も関係ない。デブハゲお前何回殴られた?ってくらい不細工なやつ。そんなやつらを見てきて、俺の向かい側でそいつらを見て俺は目ん玉落ちるんじゃないかってくらい堪えるんだよ、泣きそうなのを。今すぐこいつらを抱きしめたいっていう感情を。だけどお前みたいなやつは違う!お前みたいなどうしようもないこの世のクズを俺はこの世界で!お前だけだって!お前しかいないんだって思いたいし、もう二度と会いたくない!」

 

彼「僕らは出会ってまだ2、3ヶ月だったけど、この関係がずっと続くとは思わなかった。あの人はケベック独立運動の活動をしてて、その話になると別人のようだった。彼は独立運動の集会には参加してたけど、それを僕の前で話すことはなかった」

 

刑事「それが何だ?」

犯人「何?…だから寝た、起きた、顔を洗った、また寝た、意味なんてないよ!!」

 

彼「彼の友達から電話がきた。奥で女が発狂したように叫んでた。花火の音と一緒にブーイングをしないかって誘いだった。でも、彼は断った。大事な用があるからって、…僕を見ながら!僕を見ながらだよ!その時、彼は友達より僕をとったんだ。…幸せだった、彼は活動よりも僕を優先してくれたんだ」

 

彼「広場のやつらが来たと思ってすぐ立ち上がった」

刑事「何分くらいそこにいた?」

彼「わかんないよ、2、3分かな」

刑事「それで?」

彼「ラリってるやつらだと思ったけど、観光に来たテンションの高いアメリカ人だった。そいつらがこっちに歩いてきた」

刑事「お前に話しかけるためにか?」

彼「違う。馬車に乗りたがってた。そしたらその中でも男前のやつが一番酔っ払ってた。隣に座ってくれって言われたから座ってやった。一緒に家に来ないかって言われたけど、お金がかかるよって言ったら、いくらって聞かれて値段を言ったらその場で全額払ってくれた。タクシーを捕まえて、男前は仲間に先に帰るって言ってた。家に着いてすぐにヤると思ったら違った。僕はそういうまどろっこしいのは嫌いなんだ!そんな触りあったり長く時間をかけるよりさっさとヤりたいんだ!でも男前は地図で公園はどこだとか聞いてきた。二人で広場の奴らと発展場のやつらの違いを話した。発展場のやつらはヤりたいだけなんだ!って言ってた、演説もしてくれたけどよっぽど酔っていたんだろうね、何を言っているのかよく分からなかった。そのうちベッドへ行こうと言ってベッドへ行くと、男前は寝始めた。僕は服を脱がして布団をかけてしばらく寝顔を見てた。それから部屋を出て、もらったお金を机の上に置いた。こんな気持ちはじめてだった。何があってもお金を返すなんて今までなかった。食べ放題と同じだよ、食べても食べなくてもお金を払う。それなのに僕は何故か男前にお金を返した。もうケツは売っちゃ駄目だって思った。男娼をやめよう、って。それから歩いて家に帰った。酷く頭痛がした」

刑事「…終わりか?俺の番か?」

彼「うん」

刑事「お前のそんな妄想に付き合ってるほど時間はねぇって言ってんだろ!カナダの成り立ちまで話されたりしたらどうしようかと思ったぜ!」

彼「何でそうなるんだよ…」

刑事「お前が言っているその時間、お前の広場の同僚はこう言っている。お前がマリファナを吸いまくっておかしくなるくらいにラリってたってな!」

彼「同僚?さっきまで僕がどこで売っていたかも知らなかったくせに!」

 

彼「僕はマリファナをやってラリってこんなこと言ってるわけじゃない!あんたたちはラリってる馬鹿だとでも思ってるだろうけど違う!!……全部話しただろ?」

 

彼「落ち込んでいる相手に対して、全然気にすることないよって笑うんだ。上手く笑えた時は、熊の毛皮の上で大の字になって寝る。上手く笑えなかった時は、つま先立ちになって客が寝ている横を通って家を出る。こいつは僕の奉仕に見合わない額を出すなって時は腕時計をパクるんだ」

 

刑事「それでどうしてお前がここのカギを持っている?クロードを殺した前か?後か?後だろ」

彼「……そうだよ」

刑事「考えていたのか?鍵を盗んで鍵を見せながらもし自分を助けないならこのことをばらすとでも言って脅したのか?判事がお前の客だってことがバレたらマスコミは大喜びだからな!」

 

彼「そうだ、読書をしたんだ。数ページ読んだけど、全然頭に入ってこなかった。友達から借りたんだ」

刑事「何をだ」

彼「何を?本に決まってんだろ!」

刑事「題名は?」

彼「さっきも言ったけど、頭に入ってこなかったんだよ!」

 

彼「記者にも電話したけど、出なかった」

刑事「電話?電話番号を知っているのか?どんな関係なんだ」

彼「言うわけないじゃん」

刑事「警察の番号も記者の番号も知っている?どんだけおおっぴらな関係なんだ?」

彼「あのさぁ、あんた、電話帳って知ってる?あれって、うんこを拭くためにあるんじゃないんだよ?」

 

彼「それから、あの人に電話した。誰も出なかった。そうだ、だから電話線を抜いたんだ。彼が出ないだけで狂いそうだった。電話線は簡単に抜けた。当たり前だ、だって引っ越した時に僕が設置したんだから。それからベッドに戻った」

 

彼「起きて発展場に行った。僕たちは発展場で出会ったから」

刑事「発展場で出会った?やっとお前と話が通じた!おまえは、クロードと発展場で出会ったんだな?」

彼「…そうだよ」

刑事「いいぞ!それで!」

彼「…」

刑事「…」

彼「…」

刑事「またダンマリか?おい、いい加減にしろよ!またダンマリ入りましたー!」(←これは大地くんの時でした)

 

刑事「人と会いたくないのに、どうして広場へ行った?」

彼「そこら中のそういう店を探した。でもいなかった。だから広場に行った。広場に行けば彼が僕を探しに来ているかもって。前の日言ったんだ、売りに行くって。すれ違ってると思った。探しに来てくれて、もしかしたらって」

刑事「クロードがお前を探したことがあるのか」

彼「ないよ…。でも、もしかしたら、って」

刑事「……本当にあの時、クロードが生きてると思ったのか」

彼「発展場にいたらそういう気持ちになったんだよ!みんなの笑い声、騒いでる声、イチャついてる声、そういうのを聞いてたら、全部嘘なんじゃないかって」

 

彼「僕の所為でクロードを泣かせる日があると、自分を許せなくて死にたくなる」

 

最後、刑事が

 

刑事「俺にはプライドがある!!お前が話をするなら、俺は何でもするからな!!」

 

って今までにないくらいキレて、珈琲を飲みながらイーブが自白、基クロードとの本当の関係を話すのを待つんです。

イーブにいい加減観念しろ!っていう意味で。

 

ここ10分くらい二人共静かで…いや、もしかしたら2、3分だったかもしれない。

とにかく長い時間に感じられるくらい長い時間静かで。

最初観た時、どっちかが台詞忘れて待ってるのかと思って、一人で慌ててました。それくらい長かったです。

 

椅子に座って俯いていたイーブが、観念したかのように小さな声で話し始める。

本当に小さな声で、耳を澄ましても聞こえないくらい小さな声なんです。台詞を言うというよりかは囁くような。

 

彼「僕は」

 

本当に本当にか細い声なんです。か細くて、今にも消えそうな。

多分この会場じゃなかったら絶対聞こえなかった、マイクなしだから余計に。

そして、お客さん全員が息をひそめる様に聞いていたからこそ聞こえたと思う。誰か一人が物音を立てたら聞こえないんです。

ちなみにマチネでは2列目だったのに聞こえなかった…っていうね…それくらいなんですよ…。

  

彼「薬でおかしくなんてなってない」

 

彼「もっと悪い」

 

彼「僕は 」

 

彼「愛してたんだ」

 

彼「いつもより実入りがいいから電話をして、あの人をディナーに誘おうと思った。あの人の家に行って、セックスをする、僕はそれを充電って呼んでた。夜、家に行くと机にはワインがあって、お風呂にはお湯が張ってあった。僕なんかのために準備をしてくれていて、もう幸せすぎておかしくなるんじゃないかと思った。小便がしたくて走ってトイレに行くと、お湯が溢れるのが見えた。トイレの前で彼に後ろから抱きしめられて、彼は首にキスをしてくれた」

 

彼「もし君があと5分くるのが遅かったらお風呂の栓を抜いていたって、彼は言ったんだ。僕は君の奥さんに思われるのが怖いんだ。僕がそういうのを嫌いなのを知っていた。だから、僕は君の兄弟になりたいんだって。彼は涙を浮かべながら言ったんだ」

 

彼「お風呂から出ると、料理とキャンドルが机の上に並んでた。それだけでもうこれ以上の幸せはないって思えた。電気を消そうと壁に行った、でも僕は電気を消さずに『キャンドルを付けたいけど、あなたの顔が見たいから電気をつけたままでキャンドルに火をつけてもいい?』って聞いたんだ。こんな阿呆みたいなことって思ったけど、あの人はそっと僕に近づいて首に両手を置いてから『阿呆みたいかもとは思うよ。でも君のようにしっかりとした分別があって阿呆みたいなこともできる人に僕は会ったことがない。それが君を愛する理由ではないけど、そういうところも愛してる』って言ったんだ。嬉しくておかしくなりそうだった。そのまま30分くらいキスをした。僕たちは何度もキスをして、パンケーキみたいにひっくり返って抱き合ってた。人生で初めて愛してるって思った」

 

彼「疲れきって吐きそうな時は、彼は本を読んでくれた。おとぎ話を。彼の声は心地よくて、彼の声ならキャロットケーキの作り方でも聞いていたくなるような声だった。開いた絵本を僕の胸の上に置いて、これじゃあ読めないねって言った。それからキスをしておやすみって。初めて仰向けで眠れた。その本を借りたけど彼が読んでくれたページから先は読んでない」

 

彼「机の上にあった皿…じゃない、皿は机に2枚あった、…ワイングラスだ、ワイングラスが落ちる音がした」

 

彼「僕たちは何度もイく寸前で止まった。それから顔を見合わせて笑った。確実にあの時僕は最高潮だった。ほら、よく死ぬときに走馬灯が見えるって言うだろう?僕はそれの逆で生まれたんだ。……未来が見えた」

 

彼「彼の大木のようなペニスが爆発した!!ナイフが彼の前髪をかすって落ちた。気がついたらナイフは手にあった。鳴き声が聞こえた。…気がついたら手の中にナイフはなかった。悲鳴が聞こえた。あの人は全身を震えさせてた。それから全身にキスをした。傷口にもキスをして、彼の血を飲んだ。彼の血が僕の全身に流れた。あの人は傷口を押さえてなかった。僕を抱きしめたまま死んだんだ。苦しんで死んだと思ったけど、あれは即死だったと思う。あの人は幸せなまま死んだんだ。僕が見た光景をみなずに死んだんだ」

 

彼「それから彼の目を閉じて、彼から離れた。シャワーを浴びて、キッチンで服を着た。それが彼を見た最後だった。それから家を出た」

 

彼「そうだよ、僕はセックス中毒だよ!男娼としてヤるのも、恋人とヤるのも全部同じじゃない!!でも、僕にとっては全部同じなんだ!!」

 

彼「さっき僕のことをくそったれって言ったね?それで腹がたつとでも思っているの?そんなのわかってる、そんなのいままで言われたことがないとでも思ってる!?」

 

彼「触られたくない時もあるし、触られたい時もある。触られたくない時は、触られないようにやるし、触って欲しい時は時間いっぱいまでやる。あいつはパンツを脱げって言う前から脳卒中で死ぬんじゃないかってくらい顔を真っ赤にさせて興奮してた。それから腕みたいに太いのをぶっこんで『もっともっともっと!!』って狂ったように叫ぶ。……でも2分でイッちゃう。イった後あいつは冷静になる。仕事、奥さん、子供、バレて世間からオカマ野郎って言われたらどうしようって。そう考えたら僕を無理矢理引っ張りだして、出てけ!!出てけ!!!出てけ出てけ!!!このクズ!!!…って家から追い出す」

 

彼「あんたは頭で考えることができる、でも僕にはケツしかない!!人には適正があって、それが僕はケツだったって話だよ!! 」

 

彼「何言ってるか分かってる?分かってんのか、分かんないよな。言い表す言葉が無いんだ、じゃあどうする?言葉は感覚を表現してくれるんだろ?学校で習ったんだろ?言葉が全てで、全ての物には名前がある。僕はフランスがどこにあるかさえ分からなかったんだ!」

 

彼「あんたがお腹いっぱいになった時か、ギィの紙がなくなったら言ってよ。そん時は話、やめるからさ」

 

彼「彼は綺麗なんだ。地平線から陽が昇って、なんていうのかな、水の中で泳いでるみたいな…だめだ、陳腐な言葉しか出てこない、考えれば考えるほど陳腐な言葉しか出てこない…。ムカツく、自分のこういうところに腹が立つ!なんて言うんだ、ダメだ!出てこない。なぁ、こういう時なんていうんだ。あんたたちはこういう時のために勉強してるんだろ!」

 

彼「人間はどうやって10分で愛を交わす?1日にどうやって5人をこなす?男娼は仕事なんだ、しょうがないだろ?人と関わりたかったらケツを売る。僕にはそれしかなかったんだよ!!」

 

彼「父さんと母さんの死に顔も見れなかったのに」

 

彼「陸にあがってた。もう溺れてなかった」

 

彼「僕の所為でクロードを泣かせる日があると、自分を許せなくて死にたくなる」

 

彼「あの人は、喜びの中で死んだんだ。自分の人生が薄汚れて行くのを見る事無く。あの人を、……愛してる」

 

彼「それから駅まで行って電話をかけてあとは話した。僕は姉さんの事を考えた。あんたに電話しなくちゃいけないって。だって考えてた事って言えば、…腐っちゃうって」

 

彼「…諦めたよ」

 

◇◇◇

 

机の上で座って叫んで大泣きしたイーブは終わってから放心状態になっているように見えた。

ゆっくり、本当にゆっくり、降りる仕草を見せたけど、マチネと比べてソワレでは中々降りれなくて、苦しそうだった。足が動かないって感覚に近いような。

5分くらいだったか、時間をかけて降りて、机の上に判事の部屋を鍵を投げ捨てる様に置いて、外に出て行く。

刑事はそれを追うかのように、自分のジャケットを持って、それからイーブが置いて行った鍵を手に持って見て、また机に置く。

外に出ようとしたけど、一回戻って、イーブが置いて行ったイーブの赤いジャケットを掴もうとする、ってとこで暗転。

キャストたちが出てきて、一礼して挨拶して終わり、って流れでした。

 

泣ける、とかそういうのじゃない。頭に入ってきて整理が終わらないうちに次々入ってきておかしくなりそうだった。難しいって言うのもあるけど、イーブの気持ちが知りたくて、分からなくて、もどかしい。

 

マチネは横からだったからステージ全体が見えず、気付かなかったんだけど、ステージを斜めにしてる理由は、ステージの前方にライトがあたっていて、それが窓の形をしているから、そこに立つと部屋の窓際にいるように見えるんですよ。

刑事の台詞の一つに「そこに立つとポリ公に写真撮られるぞ。さっきから3回もそこに立ってるだろ」ってあるんだけど、マチネの横から見てたら、あ、あそこが窓際なんだなって台詞によって理解した程度だったのが、ソワレ正面で観た時に、「あ、ライトが窓の形に…!」ってそこで「本当にそこは窓際だった」って気付いた。鳥肌立った。

 

あと、これは私の理解力の無さだったんですけど、ソワレの正面から観た時に、一番最初イーブが出てきて、部屋を開けて鍵を机の上に置いて、電話をかけて、切ってからしばらくして刑事が走って部屋にやってくる、っていう流れ、ここずっと意味がよくわかんなかったんですけど、ソワレ観て分かりました。

ここは判事の部屋で、あの鍵は最後に言った「盗んだ鍵」であって、最後に置いて行く鍵でもあったんですね…。

マチネの時に、横からだったので最初机に何置いたのか見えなくて、だから入ってきたのも普通にイーブの鍵だと思ってたんですけど、そうじゃなくて判事=イーブの客、その判事から盗んだ鍵だったんですね。

つまり、刑事が何度も「どうやってこの部屋に入った。どこで鍵を手に入れた」って台詞の答えは「客だった判事から盗んだ」になるっていう…ソワレ観て本当助かった!

 

話としてはイーブって純粋でクロードのことが好きで好きでって思うんですけど、それと同時にイーブって本当に可哀想でもあって。

判事の鍵を盗んで、この部屋で刑事と事情聴取するっていうのをマスコミに話して。

それも「もし刑事が自分を無理矢理外に出したら記事にして、もじ僕が自分から出たら記事にしないで」って、刑事が自分の話を納得しない限り、自分からは出て行かないってことかな。刑事が自分を無理矢理外に出すってことは問答無用で外に出すってことで話なんて聞かないってことじゃないですか。

だから、イーブは話を聞いてほしかったのかも。

刑事が「俺はお前が話すなら何でもやるぞ!」って言ったから話してくれたんじゃないかとも思ったり、思わなかったり。

難しいから、好き勝手言って全然解釈違ったらどうしよ。まぁいいや。

 

クロードは彼女がいながら発展場に行くってことは、男が好きと言うよりも何か探してたのかな。それこそ愛とか?発展場に求めるものじゃないけど。

イーブのクロードへの愛は崇拝に似てるところがある気がして。相手の幸せは自分の幸せで、自分の幸せは相手の幸せだと信じたい。っていう、これは日本で言う昔あった兄分と弟分の関係、らしいんですが(同行者:るるさん情報)

 

イーブの台詞に、

 

「クロードが妻みたいに思われたくないって言ったから、僕は兄弟だよねって言った。彼は涙を浮かべてた」

 

みたいな、みたいな台詞があるんです。アバウトすまん。もし全然違ったら申し訳ない。これ兄弟って言ったのクロードだったらどうしようもういいや。

 

これ最初「何で兄弟なんだろう」って不思議で。なんで恋人とかじゃなくて兄弟なのか。

 

クロードはイーブを奥さんにする=男娼をやめさせる、ってことで、でもイーブは兄弟=切れない絆、としての関係でいたかったのか、と。

まぁ、ここであんまり納得してなかったけど、イーブの

 

「僕はセックス中毒だよ!」

 

で、合点承知の助!って感じでピコーンとパズルがハマった気が。

単純に男娼をやめれないんじゃないか、と。セックス中毒ってことは、男娼をやめれない=妻にはなれない?のかな~難しくてわかんなくなってきた。

 

イーブの未来が見えたって、セックス中毒をやめれなくて男色してクロードを裏切る自分でも見えたのかな。二人の先のない未来が見えて殺したっていうのは、男と男の関係だから先が見えないんじゃなくて、イーブがクロードを自分の所為で(他の人とセックスしてしまう可能性)悲しませてしまう日がきてしまうのが怖くて殺したのかなって思いましたまる

 

観る前は、好きすぎて殺したとか、二人は男同士だから先が見えないから殺したとかそういうことだと思ってたんだけど、イーブは自分のこの生活の基盤が治せない、相手を悲しませたくないから殺したってことは、これも一つの愛かな。

 

あ、そう言えば台詞にあった。

 

「僕の所為でクロードを泣かせる日があると、自分を許せなくて死にたくなる」

 

イーブにとって、自分の所為で泣かせるなら、その未来が起きる前にクロードには見えないようにしてしまう、って言う結論が「死」かな。

 

 

聞き間違いの可能性があるので、もしかしたら全然違うかもですね!

困ったな!

 

※23日千秋楽行って、台詞全然違いました!

 

本当は千秋楽行くつもりじゃなかったんですが、どうしても後1回観たくてもう二度とこのメンバーで観れることはないんじゃないかと思ったら居ても経ってもいられなくなって、水曜日のお昼に「行くしかない!」……気付いたら高速バス予約してました。

チケットは当日券並ぼうと思ったんですが、優しい方に譲っていただけて、無事に…。

まさか土曜日行って、その次の木曜日にまた東京とは…ちなみにバスで片道4時間です。

でも、作品は一期一会ですからね!次再演あったとしても、このメンバーじゃないと今のクロードが観たいという欲望を叶えることはできないので…しかし自分の行動力ェ…。

 

ずっと、クロードが「奥さんになってほしい」って言っていたと思ったんですけど、そうじゃなくて、「イーブの奥さんだと思われるのが怖いんだ」って言ってたんです。

クロードは自分がイーブの奥さんだと思われたくない、お節介をしてそういう風に誰かから思われるのは嫌だっていう。

でもこれって、イーブがそう言う勘違いを人からされたくないからっていうことでの想いだってことで、これはクロードの気遣いだった。

イーブは他人からそういう風に思われるのが好きじゃない、だから奥さんみたいなことをして誰かに思われたら、イーブに思われたら駄目だ、でもお風呂にお湯を入れてあげたい、イーブのために。

お風呂を入れて待ってることは、奥さんが旦那さんを待っているみたいですからね。もしイーブが機嫌を悪くしたらどうしよう、とでも思ったのかなぁ。

 

「ほら、よく死ぬときに走馬灯が見えるって言えるだろう?僕はそれの逆で生まれたんだ。未来が見えた」って台詞がよく分からなかったんですけど、

死ぬ=走馬灯=過去

の法則で行くと、

生まれる=未来

になって、台詞の通り「未来が見えた」になると思って。

その未来っていうのがイーブがクロードを殺す理由なんだとしたら、って思ったんですけど、きっとイーブに計画性はなかったと思う。計画なんてあったらクロードを殺した後に探しに行ったり、電話をかけたりしない。

判事の鍵を盗んだのは、ただ単に自分と判事の関係がバレれば、判事が社会から消される、言わば復讐な気がして。

判事との情事を辛そうに言っていたから、イーブは判事のこと嫌いだったんだろうな、と。

 

本当にあの一瞬、クロードの目を見た時に「この先きっとクロードとはいれない」と思ったのかな。

未来って、ハッキリとしたことじゃなくて、やっぱりモヤモヤとした「不安」だったのかな。クロードと自分が違う生き方をしていること、「あの人は綺麗なんだ」自分は体を売っているけど、やっぱりクロードはどこか別の世界で自分とは違うって、現実を見てしまったのか。

「陸にあがってた。もう溺れてなかった」

愛に溺れてたけど、現実を見たってことなんだろうか。

 

未来が不安だから殺した、と言うよりも、これから先一緒に生きていけないならこの手で先に、っていう気持ちの方が大きい気がする。愛してたからこそ殺してしまった。

 

「彼を、…愛してる」

 

同じ日のマチソワを見て、ここまで短時間で人が成長する演技をできるんだなと驚きがまず第一。

マチネとソワレでまったく違う話に見えた。もちろん刑事が違う、というのもあったけど、イーブの凌くんがマチネから数倍いい演技をソワレで魅せてくれて、おかげでまったく違う作品に感じた! 

刑事役と速記者のスウィッチキャスティングは本当に良かった。唐橋さんと大地くんで本当によかった、だって全然違う舞台に感じれる。

 

沢山の舞台やお芝居を見てきたけど、毎日でも見たいと思う、こんなことを思う舞台は初めてで、本当に本当に大好きな作品になりました。

 

凌くん以外の方も素敵な役者さんばかりで、とても魅力的でした。

 

マチネは唐橋さんが刑事で、唐橋刑事vsイーブ。

ソワレは大地くんで大地刑事vsイーブ

 

唐橋さんの刑事はとにかく怒鳴る、怒る、怖い。

イーブが「何回言わせるんだよ」って言った時に、「お前が何も言わねぇからだろ!」って36時間事情聴取してきた結果を聞かせるシーンがあって。

そこで速記者が書いた紙持って、イーブのところに近づいて、椅子に座ってうなだれてるイーブの顔に無理矢理紙を近づかせて、

 

唐橋刑事「もう36時間だぞ!?土曜の深夜にお前が俺たちを呼び出して、今何時だと思う?月曜の朝だ!それなのに話は土曜日からまったく進んでいない!『名前は?』『言いたくない』『職業は?』『ファック!』『何でその仕事をしている?』『男娼は生きること』どうして何も言わないんだ!」

って言うんだけど、ここが凄く怖くて。

そして、イーブは聞きたくない、みたいな仕草をする。

でも、大地くんの刑事はここのシーン、普通に紙を持って、座るイーブに優しく聞かせる様に読み上げる。

イーブは平然と大地くんの話を聞いてる。

ここのシーンの二人が全然違くてびっくり。真逆な刑事だった。

唐橋さんの刑事は怒鳴って責める刑事で、大地くんの刑事は静かに威圧で怒る刑事だと思った。

普段怒らない人ほど怖いタイプが見た目優しそうな大地くんと合ってた。

その所為か、唐橋さんが刑事の時の凌くんは暴れ方が少なくて、大地くんが刑事の時は、机の上にあった紙を全部下に落とす、自分でかけたジャケット投げる、顔真っ赤にして号泣してて、凄かった。

そして、凌くんが時折袖を伸ばして袖で鼻を擦ってたのも、大地くんの時だった。

ここのイーブは可愛いなぁって思いました。

 

イーブが不細工な客(多分判事?のことかな)を相手にした時の話も、

「『もっともっともっともっと!』って」

って、机に腰ガンガン打ち付けて後ろから挿れられてる描写があるんだけど、感情が大地くんの時は激しくて、違いがこんなに出るんだって。

唐橋さんの時は「もっと」が2回だったんだけど、大地くんの時は4回言ってたし、大地くんの時は凌くんの声が叫び声に、むしろ怒鳴り声に近くて「もっと」って単語が聞こえないくらいだった。

 

クロードとのセックスしてる時の話をする時に、倒れこんだんだけど、マチネの時に斜め前で倒れて…。

丁度体が私が観てる角度と向かい合って倒れこんでるから、服の中が見えて。

あのー、非常にすみませんでした(1枚しか服を着てないので中が全部見えてました)

ソワレでは中に赤のタンクトップだか着てたので、もしかして見ちゃダメだったのかな?と思ったんですが、どうやら唐橋さんが刑事の時は着ないで、大地くんが刑事の時は着てるみたいです。

何故だ…。公式さんに聞きたい。

 

イーブが「だったら!判事に聞けば?」

って机の上に足を置いて刑事を馬鹿にするところ。

「もういっぺん言ってみろ!!どたまかちわんぞ!!」

って刑事がキレるんだけど、

唐橋さんは「どたまかちわんぞ!!」って、怒鳴ると言うか叫ぶ感じで怒るんだけど、大地くんは静かに冷静に「今なんつった?…どたまかちわんぞ?」って感じで、ひえー!!!全然違う!!!ってびっくり!!

本当対照的な刑事だなって。

 

あ、でも二人共速記者は同じ感じ。静かで物腰が優しそうな。

でも、大地くんの速記者は真面目エリートマン風だけど、唐橋さんは少しドジっ子な速記者って感じで唐橋さんの速記者可愛いなって印象。

 

警備員のハルニさんが面白くて。

マチでは入ってくる時「扉が」って扉が開かない、みたいなこと言うからそういう演出だと思ったら、ソワレでは普通に入ってきて、まさかのマジで開けるのしくったんかーい!

演出で笑っちゃダメだと思って耐えたのに。

 

刑事が家族に電話したいから、イーブに一回外に出て行ってもらいたくて嘘で警備員に「トイレに行きたいそうだ」って言って連れて行ってもらう様に言うんだけど、

警備員「大ですか?小ですか?」って聞いてきて。

ここの唐橋刑事と大地刑事がまた違くて。

 

唐橋さん

警備員「大ですか?小ですか?」

刑事「……」

警備員「大ですか?小ですか?(小声)」

刑事「…俺じゃねーよ」

警備員「(イーブに向かって)大ですか?小で」

刑事「もういいから行け!」

 

大地くん

警備員「大ですか?小ですか?」

刑事「どっちでも行けばかわんねぇだろ」

警備員「そうでした」

 

って…。

ここの大地くんちょっと笑っててホッとした。出演者が少し笑ってると安心する。ずっと気が抜けないから、出演者と一緒の気持ちって言うか。

 

で、その後に、刑事が外線(家族に電話かけるために)にかけるためにはどうすればいいのかって警備員に聞くんだけど、ここもマチソワ、ハルニさんのアドリブ?というか、違った。

 

唐橋さん

刑事「外線は頭に9か?」

警備員「あ、今確認しますね…もしもし、事務局ですか?あ、何か声が遠くて、もしもーし、あ、受話器逆だった…あ、もしもし?逆だったごめんごめん(電話切る)」

刑事「あ、おい!」

警備員「あ、切っちゃいました」

刑事「もういい!」

 

大地くん

刑事「外線は頭に9か?」

警備員「電話して確認しますね。あ、もしもし、あ、事務局長お久しぶりです。あ、はい、お世話になってます〜はい、あれですね、またまた〜はい、はい、じゃあ、また宜しくお願いします〜」(電話切る)

刑事「……で、外線は頭に9でいいのか?」

警備員「た、多分?」

 

ここでも二人の違いが。

大地くんの冷静な「外線は頭に9でいいのか?」が怖すぎた。

大地くんの時、大地くん笑いそうなの必死に堪えてそうで、で、外に出るための扉がステージの奥にあるんだけど、そこに立ってる凌くんも笑いそうなの多分堪えてたのか俯いてて。

多分笑いそうなの堪えてる顔すらもできないから必死に隠してたと思われ。

 

こういう笑えるシーンもあるんだけど、脳内では笑っても、どうしても表情に出せない。ずっと緊張してるから急に変われない。難しい。でも脳内ではちゃんと大爆笑でした。

 

家に帰ってからパンフ特典のDVDを見ると、台本読みの時にまさかのWBに流れが書いてあったので、必死に読み取ったのでその流れも書いとく。

DVDの見える角度によってもしかしたら文章違うかも。

 

▽▽▽

1967年 3月 クロード、イーブと出会う@ハッテン場

4月

6月~ クロードの日記にイーブ登場

          彼女よりイーブ

7月1日(木)夕刻

・イーブ広場出る→クロード家へ

・クロード家到着(19:00~21:00 夕食)

×イーブ、クロード殺害

・シャワーを浴びて家を出る 21:00頃

・ジャリ駅~ボナヴァンチュール駅→歩いてランスドーヌのフェンス

・フォーラムまで走った、アレクシス日本ビルでTEL→クロードの家 22:10クロードへ

・セントキャサリンの公園のベンチ 24:00

アメリカ人に会う、お持ち帰り、ヤらないで金置いて帰る

・2人目の客=判事@公園→カギ盗んだ

 

7月2日

5:30 イーブ帰宅

~ ポールクローデル読む

6:30 寝る

9:30 胃痛で目覚める

     ドアのベル壊し、線抜き

7月3日 23:00まで断続的に寝る

23:00 ポリにTEL

      記者にTEL

      イーブ、判事のオフィスへ

▽▽▽

 

と、見える限りではこう書いてあったので、流れとしてはこうなのかな。

6月の「彼女よりイーブ」って言うのが引っかかるんだけど、もしかしたら6月の時点でクロードは彼女よりもイーブを優先させる何かがあったのかもしれない。

ポールクローデルは、調べたら実在するカナダの作家さんで、奥さんがいても男の人と関係を持ったことがある、脚本などを書いてる方らしい。

舞台中に本の名前は出て来ないんだけど、もしかしたら原作の方には出てくるのかな。

個人的には「ヤらないで帰る」って文章爆笑しました。DVD持ってる方は見てみてください。

 

最後の自白のシーンは、凌くんは机に座りながら全部を打ち明けて、外に出て行くんだけど、大泣きして叫んだ後だったからなのか、机から中々降りることができなくて、観てて辛かった。

真っ赤な顔をして大泣きしているの観たら、演技を通り越して本当にイーブになってた。

マチネでは自白したらすぐ外に出て行ってたんけど、ソワレは、中々動けなさそうで。

凌くんが今にも消えそうだった。

だからこそ、息をするのも忘れて見惚れていた。

静かにつぶやき始めて、笑いながらクロードのことを話す。

発狂して紙を撒き散らかす、自分のジャケットを投げる、しゃがむ、泣く、笑う、倒れる、机の上に座る、セックスを再現する、語る、目を瞑る、すべての行動に引き込まれた。

机を降りて鍵を置いて出て行く時のイーブの仕草、後ろ姿が忘れられない。目に焼き付いて、思い出すたびに泣きたくなる。無性に。

刑事が言った「抱きしめたくなる」イーブの背中もそう。

 

 

見てから少し日が経ってるけど、未だに観劇した時のことが忘れられない。それは眠れないくらいに。困った。

あの時の台詞、曲、客席の息の詰まる空間が離れない。

 

凌くんはマチネでもソワレでも噛んでたんだけど、ソワレの噛み方は異常だった、というか、台詞だけがどんどん出てくるけどそれについていけなかったというか。

噛んで台詞が止まった。言い直せばいいのに、その言い直しさえも噛んだ。でもそれがこの時では良かったかもしれない。

間違えて噛んだと言うよりも、わー!って話してたら呂律が回らなかったって言ったほうが正しいかも。なんか怒ったときに、考えてることよりも先にバーっと口が勝手に動くあの現象に似てた気がする。

あれがヒートアップしすぎて止められなくて、口が追いつけなかったみたいな。

やっぱり舞台は生ものなので、説明できないですね、これは。

 

会場はこの会場でなければできなかったと思うくらい素晴らしい会場だった。

ステージが斜めになっているので立体的に感じるし、自然と引き込まれた。

 

素晴らしい舞台を有難うございました。

キャストが素晴らしすぎて何も言えない。充実感、圧巻、全部詰まってる。

 

クロードと一緒にという舞台に出会えて幸せです。

有難うございました!